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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#10
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※※※


 セレナの父である元ディルカリド伯爵───ザレムと、ハルドの祖父であるドルトは───ラムル、セレナ、ハルドだけでなく、捕らえたディンド、ヴァルト、アーシャには目もくれず───発動した魔術に何か不具合でもあるのか、自分たちの足元に展開した魔術陣を見て、ぼそぼそと何かを話している。

 少し距離があることもあり、その内容は聞こえない。

 魔術陣に囚われているディンドたちだが────ザレムとドルトの様子を見るに、どうやら今すぐにどうこうされるわけではなさそうだ。

 もしかしたら、魔術が浸透するまで時間がかかるか───もしくは、魔術自体、隷属させられるというほどのものではなく、意識を朦朧とさせる程度なのかもしれない。


 ザレムとドルトの動向から目を離さぬまま、ラムルはそこまで考え───セレナとハルドに告げる。

「まずは────動けないディンド様たちから、ディルカリド伯爵とドルトを引き離す」

 セレナがザレムと魔術で戦うには、魔術の射程範囲内にディンドたちがいてはやりにくいということもあるが───ディンドたちを囮や盾にされることだけは、絶対に避けなければならないからだ。

 それに、今いる位置は、魔術陣の中央付近にいるザレムと彼を護るドルトとは、切り刻まれた魔獣の死体によって隔たれているため───直接、対峙できる個所まで移動する必要がある。

「【認識妨害(ジャミング)】を発動させて───あの地点まで移動する」

 ラムルが右方向の200mほど先を指し示すと、セレナとハルドは決意の籠った眼でラムルを見て頷いた。

「それでは────行くぞ」

 ラムルのその言葉を合図に、【認識妨害(ジャミング)】を自身に施すべく、三人は自分の腕時計に手を伸ばした。



 ラムルたちが姿をくらませ奔ること1分弱────目標地点に辿り着く直前になって、ザレムとドルトは、ようやくラムルたちの姿が見えないことに気づいたようだった。

 ラムルたちがディンドたちを解放しようとしていると考えたのか───ドルトが、ディンドたちのいる方角へ踏み出す。

 ラムルとしては、気づかれないうちに【認識妨害(ジャミング)】で姿をくらませたまま、セレナの魔術でザレムとドルトを無力化できればと考えていたが────やはり、そう簡単にはいかないようだ。

 ディンドたちから目を逸らさせるためにも、姿を現して───正面から戦うしかない。

 目標地点に到達した三人は足を止め、ラムルはセレナとハルドに振り向く。

「【認識妨害(ジャミング)】を解いて戦う。二人とも────覚悟はいいな?」
「「はい!」」

 セレナとハルドの返答は力強く────揺るぎない。

「行くぞ!」
「「はい!」」

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