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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#10
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レナをもハルドに認めてもらえたことに、熱いものがセレナの胸に込み上げる。
「ふん、ドルトの孫とは思えない愚かさだな。やはりウルドの子だ。あいつら同様、不忠で使えない。────ドルト」
「はっ」
「
ま
(
・
)
た
(
・
)
処
(
・
)
分
(
・
)
す
(
・
)
る
(
・
)
のは面倒だ。その不忠者はいらん。“落ち零れ”だけこちらに連れて来い」
「仰せのままに」
そう応えたドルトが、ゆらりと、こちらを振り向いたかと思うと───次の瞬間には、セレナの前でドルトとハルドが切り結んでいた。
ドルトの両手剣を───おそらく身体強化をしているハルドが、ショートソードで受け止めている。
「ラムルさん、お嬢を頼みます!」
「解った」
ラムルとそんな遣り取りをした後───ハルドはショートソードを振って、ドルトの両手剣を払いのけた。ドルトが大きくよろめきながら後退して、セレナから距離が開く。
ハルドはドルトを追って踏み出し、再びショートソードを振るった。
「っく、この不忠者が…っ!」
ハルドの追撃をいなしながら、ドルトが絞り出したような声で言い放つ。
「ヴァルトもオレも、不忠者なんかじゃない!忠義を捧げるべき主を自分で選んだだけだ…っ!!」
ハルドのそんな反論が耳に入り、その言葉の意味が───セレナの心に染み入る。
ハルドは、セレナのことだけでなく、ヴァルトのことも認めてくれている────そう思うと、こんな状況であるのに胸が温かくなった。
自分の家族や親族から“出来損ない”と蔑視されて嫌厭されていることを、ヴァルトはまるで気に留めていないかのように振舞ってはいたが────本当は孤独に感じていたのを、セレナは知っていた。
ハルドが認めてくれていることを知れば────ヴァルトは、きっと喜ぶに違いない。
ヴァルトの喜ぶ様を───その笑顔を見られたら…、セレナもどんなに幸せなことか。
それを見るためにも────
(あの男を倒して、ヴァルトを────仲間たちを…、取り戻さなければ)
セレナは、緩んでいた表情を再び引き締め───杖を握り直して、決意を湛えた双眸で、
父
(
・
)
だ
(
・
)
っ
(
・
)
た
(
・
)
男を───ザレム=アン・ディルカリドを見据える。
「…何だ、その眼は。まさか、私に逆らうつもりか」
ザレムは低い声音で脅すようにそう言ったが───セレナは、もうザレムの戯言を取り合う気はない。
セレナは、それに応えることなく───ただ、短杖に魔力を流した。
◇◇◇
無数の氷刃を、一筋の豪風が巻き上げ────セレナが繰り出した魔術は、ザレムには届かない。
もう何度目になるか────先程から同じ攻防を繰り返している。完全に膠着状態に
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