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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#10
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「セレナ───まずは、魔術で牽制を」
セレナが短杖を両手で握って突き出し、魔力を流す。セレナの目の前に浮かび上がった───無数の30cmほどの魔術陣から、氷刃が射出される。
突如現れた氷刃に、ザレムはさして慌てることもなく、コートの内ポケットから取り出した魔術陣が刻まれたメダルを掲げて───生み出した豪風で、氷刃を巻き上げて散らした。
その攻防に気付いたドルトが、ザレムを護るためだろう────慌てて身を翻した。
ラムル、セレナ、ハルドの三人は───【
認識妨害
(
ジャミング
)
】を解き、ザレムとドルトの前に姿を晒す。
ドルトはただ驚いたような表情を見せたが───ザレムは一瞬だけ目を見開いたかと思うと、子供が玩具を見つけたような表情を浮かべた。復讐に囚われている人間にしては、どこか違和感を感じさせる反応だ。
ザレムとドルトは短く言葉を交わした後、こちらに向かって歩き出した。二人は、魔術陣の範囲ぎりぎりまで近寄って来る。
対するラムル、セレナ、ハルドは、警戒を強めて身構えた。
◇◇◇
「久しいな────セレナ」
ザレムは表情を緩めることなく、セレナに向かって言う。言葉の内容とは裏腹に、その声音からは再会した感慨など微塵も感じられなかった。
この距離ならば、ラムルにかかれば、ザレムもドルトも無力化できるはずだが───ラムルは、先程のセレナの決意を尊重してくれているのか動かない。
それとも、情報を引き出せということだろうか────そんなことを考えながら、セレナは口を開いた。
「…生きていらしたのですね、お父様」
「お前こそ、落ち零れの分際で───伯爵家が取り潰されて、よくぞ生き残れたな。どういう経緯で、ルガレド皇子なんぞに仕えることになったかは知らんが────ちょうどいい。落ち零れでも少しは足しになるだろう。それに、魔術陣も幾つか持たされているようだな。この私にすべて差し出せ」
尊大にそう言い放った父は、以前と変わらず────セレナに対して、落ち零れと呼び、理不尽なことでも命じる権利が自分にはあると、当然のごとく思っているようだ。
そして、セレナはその理不尽な命令にも黙って従うはずだ────と。
「お断りします」
セレナの唇から、自分でも意外に思うほど、するりと言葉が零れ出た。
ザレムは、まさかセレナに拒否されるとは思っていなかったらしく───驚愕のあまり、束の間、表情が抜け落ちた。
しかし、すぐに我に返り───屈辱に顔を歪ませる。
「…お前───随分と増長しているようだな。ルガレド皇子から新たな魔術陣を与えられて、調子づいたか」
セレナは、ザレムの言葉の意味が解らず困惑する。新しく与えられた
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