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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#9
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顔を反射的に上げた。ハルドが、声の主の名を呼ぶ。
「あ───ラムルさん…」
いつの間にか、側にラムルが立っていて────セレナとハルドを見下ろしていた。
ラムルだけは、あの魔術陣から逃れることができたのだった───と、セレナとハルドは思い出す。
「旦那様とリゼラ様が戻られる前に、すべてを終えなければ。あの魔術をどうにかしたいところだが───ディンド様たちが魔術にかかり、その魔術もどういったものか詳細が解らない。リゼラ様がおられない今、下手なことはしない方がいい。よって───ディルカリド伯爵をどうにかするしかないな」
ラムルの言葉は現状を打開する具体的な案ではなかったが────それでも方向性を示されることで、セレナとハルドの停止していた思考が廻り始めた。
そうだ───ラムルの言う通り、呆けている場合ではない。
ヴァルトを───仲間たちを助け出さないといけない。助け出せるのは自分たちしかいないのだ。
セレナとハルドの双眸に光が戻る。
「あの魔術陣が発動している限り、ディルカリド伯爵に近づくことはできない」
ラムルの言わんとすることを悟って───セレナは躊躇うことなく、ラムルに向かって宣言した。
今回の件に父が関与していると知らされたときから────ルガレドにこの件に関わる意志があるか訊かれたあのときから、すでに覚悟はしている。
「お父様は────ディルカリド伯爵は…、私が倒します」
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