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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#9
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ペレーション》】」

 リゼラの足元に展開した魔術式と連動して───魔獣たちの足元に、すべての魔獣たちが収まるほどの巨大な魔術式が現れた。

 魔術式が光を発すると、魔獣たちは、まるで視えない何かに上から押さえつけられでもしたかのように、一様に膝をついた。

 そして、ラムルとアーシャがこちらに合流できたところで───【重力(グラビティ・)操作(オペレーション)】を発動したまま、リゼラは続けて新たな魔術を発動させた。

「【雷光(ライトニング・)(ウェイブ)】」

 リゼラの正面に、弾けるような音を立てて火花が散ったかと思うと───それは稲光となって膨張し、稲光はさざめく波のように広がりながら、動きを封じられた魔獣たちに襲い掛かった。

 稲光がその全身に纏わりつくと、魔獣は次々に倒れ伏していった。

 殲滅までは至らず、後方に免れた魔獣が数頭いるようだが───前方を陣取っていた魔獣には死から逃れられたものはいなかった。

 生き残った魔獣が打って出てくるには、この魔獣たちの死体を越えなければならない。それには、少し時間がかかるはずだ。
 

「リゼラ様!」
「リゼ姉さん!」

 ラムルとアーシャが、口々にリゼラの名を呼ぶ。その表情は、他の仲間同様、深い安堵が見て取れた。

「皆───持ち堪えてくれてありがとう。今、回復するから」

 リゼラの方も、安堵に表情を緩め────神聖術を施すべく口を開く。

「【快癒】」

 リゼラを中心に、仲間たち全員を囲う大きな魔術式が、瞬く間に展開する。

 魔術式から迸った柔らかい光が、全員の身体を優しく包んだ。魔獣との戦いで負った大小の傷や不調が、霧が晴れるように消えていく─────

「え…、魔力が────魔力も、回復している…?」

 セレナが呆然とした声音で呟いた。

 セレナは、魔力や魔素を感じ取ることはできないが───【魔力炉(マナ・リアクター)】を変え魔力量が大幅に増えて以来、自分の魔力があるかどうかだけは、体調で推し測らずとも、何となく判るようになっていた。

「え、本当ですか?」

 回復を施した当のリゼラにとっても、それは意外なことで───リゼラは反射的に問い返す。

「…確かに、皆の魔力も回復していますね」

 リゼラは仲間たちを見回して、少し考え込んでから────ディンドに振り向いた。

「ディンド卿───残った魔獣3頭の討伐、ディルカリド伯爵とその息子二人、そしてドルトの捕縛。お任せできますか?」

 ハルドの父ウルドと兄コルドが入っていないのは────この騒ぎの中で、二人とも死亡しているからだ。

「は、お任せください」

 ディンドは躊躇うことなく頷いた。

 先程の状況
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