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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十五章―過去との決別―#8
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け出した後は、リゼラをも狙っていたようにディンドには見えた。

(もしや…、魔力量が多いから────か?)

 魔物や魔獣は、魔力があるため、魔剣を知覚できるという話を聞いたことがある。魔力を感じ取れてもおかしくはない。

 そこで、ディンドは不意に閃く。

(もしかして───あの4頭の魔獣たちは、セレナの魔力が減ってきたのを見計らって、前に出て来たのか…?)

 ディンドはその疑問に捕らわれそうになったが、すぐに思考を切り替える。

 今はセレナたちを救援に向かわねば────そう思い、ディンドがセレナたちの許へ向かおうとしたとき───セレナが膝をつき、それを見た2頭の魔獣が(おもむろ)に動き出した。

 ハルドが慌てて、セレナを抱え直して立ち上がらせる。

(まずい───!)

 セレナが魔術を使えない今、ヴァルトとハルドだけでは、あの2頭の魔獣に敵うはずがない。

 ディンドは走り出したが、巨大化した魔獣とではリーチが違い過ぎる。間に合わない────そう思った瞬間だった。

 セレナたちの後方───ディンドにとっては前方から、眩い光の波が押し寄せて来た。それは、天井と床を覆いながら───セレナ、ヴァルト、ハルドを通り抜け、ディンドをも追い越し───すべての魔獣を追い越して、その向こうまで広がっていった。

(これは────【管制室(コントロール・ルーム)】で見た現象と同じ────)

 待ちに待った【最適化(オプティマイズ)】の───【最新化(アップデート)】の光だ。

 一拍遅れて、そこかしこで光が膨張したかと思うと────光の洪水が、人も魔獣も空間も音も────すべてを呑み込んだ。

 この光が収まったとき、修繕は終わっているはずだ。

 そうすれば、リゼラが来てくれる。この光のように眩しいほどの存在感を放つ────もう一人の主が。

 そんな安堵と希望を胸に、ディンドは瞼を閉じた。


※※※


 圧倒的な光に呑まれ、目を瞑っていたハルドは───光が収束したことを感じ取り、瞼を開いた。

 隣にいるセレナも、前にいるヴァルトも、こちらに詰め寄ろうとしていた2頭の魔獣たちも立ち止まり───ハルドと同じように、何が起こったのか理解できずに戸惑っている。

(もしかして、これが────殿下が仰っていた“修繕”なのか?)

 この空間は何処も変わっていないように見えるが、あの坑道のような通路なら劇的な変化が見られるかもしれない。


「お嬢───何をやってる!今だ、魔術を撃て!」

 ヴァルトの叫びに、ハルドは我に返った。

 そうだ───今はそれどころではなかった。2頭の巨大化した魔獣を何とかしなければならない。

 セレナも我に返っ
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