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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十五章―過去との決別―#8
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 大剣が指のない魔獣の手を手首から斬り落とし、多少勢いは殺せたものの、ディンドはそのまま後方へと吹き飛んだ。

「ぐ…っ!」

 離れた所に退避していた魔獣たちに、背中から突っ込む。気づくと、ディンドは数頭の魔獣たちを巻き込んで倒れていた。

(っく、まずい…!)

 自分より一回りほど大きい魔獣たちに囲まれている上、指や手を斬り落とされて激怒しているらしい巨大な魔獣が、こちらを覗き込むようにして見下ろしている。

 幸い、大剣は手放していない。
 ディンドは、身体を横に反転させて魔獣の上から降りると、身体の痛みを無視して、素早く立ち上がった。

 大剣を構えて、魔獣たちの動きを見逃すまいと睨みながら───背後を取られないよう、少しずつ身体の向きを変える。

 そんな状況の中、動いたのは巨大化した魔獣のみだった。

 何かルールでもあるのか───他の魔獣たちはこちらを見てはいるものの、戦いに加わろうとはしない。

 魔獣がディンドに向かって、無事な左腕を振り翳す。

 ディンドは【身体強化(フィジカル・ブースト)】をかけ、床を蹴った。
 振り下ろされる魔獣の左腕に向かって───ディンドからすれば、右方向に向かって奔る。

 魔獣よりもディンドの方が迅く───間一髪、魔獣の拳を掻い潜った。

 魔獣は、床に拳を打ち付け───前屈みになる。魔獣の左側面にいるディンドは、すかさず、自分の頭より低い位置にある───魔獣の二の腕を斬り落とした。

 左腕の支えがなくなった魔獣が、床に突っ伏すと───間髪入れず、ディンドは肩に跳び乗り、魔獣の後頭部に大剣を力の限り叩き込んだ。


◇◇◇


 通常の魔獣ではないとはいえ、初めて単独で魔獣を討ち取ったことに、少しだけ興奮しながら────ディンドは仲間たちの安否を確認するために視線を廻らせる。

 遠巻きにしている魔獣がこちらに向かって来る前に、周囲の状況を確認してしまわなければならない。

 まず───アーシャとラムルが共に、4頭の魔獣のうちの1頭と戦っているのが目に入った。

 残りの2頭は───どうやら、セレナの許へ向かおうとしているようだが、セレナの魔術に阻まれて進めないでいる。

 ただ、セレナは限界が近いようで、今にも倒れそうだ。そんなセレナをハルドが支え───セレナとハルドを護るように、二人の前にヴァルトが陣取っていた。

(あの魔獣たちは、セレナを狙っているのか?)

 2頭の魔獣たちは、明らかに、大剣を構えるヴァルトを通り越して───セレナを見ている。

 そういえば────とディンドは思い出す。

 リゼラと初めて出会ったあの集落潰しのとき────あのときも魔獣はセレナを狙っていた。リゼラがセレナを助
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