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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十五章―過去との決別―#8
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、今すべきことは───セレナの負担の軽減だ。
階段の方へ逃げ込まれることを防ぐために、一人ずつ魔獣を相手取ることで、なるべく多くの魔獣を引き付けておきたかったが────この状況では仕方がない。
≪戦い方を変える。ラムルはヴァルトの援護を───アーシャは俺の援護を。セレナは、俺たちに横槍を入れようとする魔獣への牽制を頼む≫
ディンドが伝えると───仲間たちは了承の【
念話
(
テレパス
)
】を返すと同時に、立ち位置を変えるべく動き始めた。
そのとき────対峙していた魔獣の一団のすぐ背後まで、もう少し離れた位置で控えていたはずの巨大化した魔獣たちが距離を詰めて来た。
その数────4頭。すべて、全長4mほどに巨大化したオーガだ。
「っ?!」
4頭もの巨大な魔獣が、足元に魔獣たちがいるのも構わず前進してくる。
足元の魔獣たちは、慌ててその進路から退き───4頭の魔獣は止まることなく、ディンドたちの直前まで迫る。
(くそ───完全に油断していた…!まさか、今動き出すとは────)
4頭の魔獣が動くとしたら、もっと魔獣たちの数が減ってからだと、ディンドは無意識に考えていた。
魔物は弱い個体から襲い掛かってくるが───ある程度魔物の数が減ると、全滅する危機感でも覚えるのか、変異種が自ら出てくる。
ディンドは自覚のないまま、その魔物の習性を元に状況を想定していたのだ。
ここにいる魔獣たちが、通常の魔獣とは違うことは判っていたはずなのに────ディンドは自分が、この奇特であるはずの魔獣たちを、ただの変異種と同様に見ていたことに気づいた。
ディンドに近い位置にいる魔獣が、その大木のような右腕を振り被った。
自分の【
防衛
(
プロテクション
)
】では防ぎきれないと考えたディンドは、【
身体強化
(
フィジカル・ブースト
)
】を発動させて───大きく横に跳び退く。
それを見て取った魔獣は───真下にではなく、ディンドを追うように腕を振り下ろした。
回避が間に合わないと悟り───ディンドは足が地に着く寸前、咄嗟に身を捻って迫りくる魔獣の拳に向き合い、大剣を拳に叩きつけた。
リゼラによって魔剣に創り替えられている愛剣は、魔獣の横向きに突き出された拳の───握られた指を、容易く斬り裂いた。
魔獣は痛みから耳障りな悲鳴を上げて、指が無くなったその手から血を迸らせたまま、ディンドに向かって再度腕を振るう。
魔獣の指を斬り落として大剣を下げた状態だったディンドは、正面から再び迫る魔獣の腕を避けようと思うも、今度こそ間に合わない。
魔獣の腕に強かに打たれ衝撃に意識が飛びそうになりながらも───ディンドは、下げていた大剣を渾身の力で振り上げた。
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