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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#7
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、形を変え始めた。光を帯びた剣は、みるみる大きく膨張していった。

 光が収まったときには────魔獣は、その巨体に見合った両手剣を手にしていた。

「嘘だろ…」

 レナスは唖然とした声音で呟く。

 あれは───あの光は、レナスもこれまで何度も見ている───【最適化(オプティマイズ)】の光だ。

(何だ───あれは…?)

 魔獣の両手剣が、まるで────立ち(のぼ)る炎のように揺らめいている。勿論、あれは現実の炎ではない。

(“炎を纏う剣”────そうか!あの剣は…、ジェスレム皇子がイルノラド公女に与えた────古代魔術帝国の剣か…!)

 レナスは、今度こそ【解析(アナライズ)】を発動させる。
 そして────思わず、また同じ言葉を零した。

「嘘だろ…」


【聖剣ver.17:汎用型】
 神代遺物である【真なる聖剣】を参考に造られた人工の【聖剣】。使い手を選ぶこれまでの【聖剣】とは違い、ある程度の魔力を持っていれば、誰でも使うことのできる汎用型。持ち主の魂魄を剣身に纏うことで、【聖剣】としてのスペックを装える。【魂魄】すら斬ることが可能。


 魂魄すら斬れるということは────あれに斬られたら、死ぬだけに留まらず、存在が消滅するということだ。

「あの巨体で、持っている剣が【聖剣】とか…、酷くないか?」

 魔獣が───その濁った双眸を、レナスに向ける。


 レナスは、太刀の鞘を払った。

 何にしろ───戦わないという選択肢はない。微かに聞こえる争いの音は止んでいない。仲間たちは未だ交戦中で、応援は期待できそうもない。

 ルガレドを護れるのは、今────レナスしかいないのだ。

 抜身の太刀を正眼に構え、魔獣を見据える。

 この太刀は、もう一人の主───リゼラがレナスのために創ってくれた対魔獣用武器だ。先程のように魔力の刃を放つこともできれば───魔力を刃に纏わせて斬ることもできる。

 先に“居合術”だけ習い、“刀術”は追々リゼラから習う予定だったのだが───もうその必要はなくなった。今のレナスなら、太刀を扱えるからだ。

 まあ、勿論───鍛練はするつもりではあるが。

(しかし────あの方は、何処まで引き寄せるんだろうな)

 何故、レナスの対魔獣用武器に“太刀”を選んだのか。

 まさか、レナスが前世で、自分と同じく“刀術”を修めたと知っていたわけではあるまい。

(それにしても、今世でも“巫女”に仕えることになるとは────縁とは、不思議なものだ)

 【最適化(オプティマイズ)】も疾うに済ませ、すでに自分の手に馴染んでいる太刀を見て────愛する主を思い浮かべて、レナスはうっすらと笑みを浮かべる。


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