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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十五章―過去との決別―#6
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が近過ぎる。

「セレナ!」

 名を呼ばれてルガレドの意を汲み取ったセレナが、ルガレドの行く手に魔術を放った。ルガレドの前方にいる魔物や魔獣たちは、氷刃を浴びせられ、動きを止める。

「ルガレド様、ここはオレが!」
「任せる!」

 レナスが前に出て───鞘に納めた“太刀”を左手に持ち、腰を低くして右手を“太刀”の柄に添える。“太刀”にレナスの魔力が流れ込む。

 魔力が“太刀”に行き渡った瞬間、レナスが“太刀”を素早く抜き放って、その勢いのまま振る。

 “太刀”から放たれた魔力の刃が、まるで膨張するかのように巨大な刃となって、行く手を阻む魔獣たちの首や胸元を一斉に斬り落とした。


「ひっ、こっち来るな────くるな…っ!」

 前方でそんな叫び声が聞こえ────魔獣たちが倒れて開けた前方を見ると、ハルドの兄が、2頭の巨大化したオーガの魔獣に襲われていた。

 ハルドの兄は逃げ出すこともできず、両手剣を振り回し応戦しているが、腰が引けている上に、相手が2頭もの巨大化した魔獣ではどうしようもない。

 すぐに、ルガレドはレナスを伴い駆け出したが、魔獣や魔物の死体が邪魔をして、思うように進めない。


「ぎゃあぁぁああっ、やめっ、たすけ───がは…っ───ぁ、が…」

 そうこうするうちに、叫び声は悲鳴に替わり、やがて消えて───駆け付けたときには遅く、すでに、ハルドの兄の命は潰えていた。

 2頭の魔獣は───壁はまだ人間の成人男性が潜れるほどしか開いていなかったものの、その先に空間があることが解ったらしく、開ききっていない壁をその膂力で以て壊して、すでに通り抜けた後だった。

「…っ」

 目に入ったハルドの兄の───その無残な姿に、ルガレドは一瞬だけ気を囚われたが、2頭の魔獣を追うことに意識を切り替える。

 無辜(むこ)の人々から犠牲者を出さないためにも────魔獣を追わなければならない。

「行くぞ、レナス」
「はっ」

 崩れた壁を潜り抜ける。そこには、意外にも───先程いた空間ほどではないが、かなり大きな空間が広がっていた。

「魔獣は────いた…!」

 2頭の魔獣は、空間の真ん中で────何故か蹲っている。

 そのことを疑問に思うより先に、魔獣たちが立ち上がった。そのまま大股で2歩動いただけで階段下に辿り着くと、すぐさま階段を上り始める。

 巨体の割に動きが早い上に、歩幅が比べ物にならないため、ぐんぐん距離が離れていく。

「くそ、まずい…!」

 ルガレドとレナスは、魔獣を追って空間を縦断する。

 そして────その中央部分に踏み込んだ瞬間だった。ルガレドは、自分の魔力が凄い勢いで足元に流れるのを感じ取った。

「!
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