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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第二十五章―過去との決別―#6
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は魔導機構だとしても、大掛かりな装置になるはずだ。とすると────簡単には持ち運びできないだろう。奴らが今いる場所に施されている可能性が高い。
それに────魔物や魔獣、セレナの弟たちやハルドの肉親が魔術陣らしきものの範囲内から出ないところを見ると───魔術陣上しか効果がないと考えられるな」

 ディンドの推測に、ルガレドは思考を廻らせ────呟く。

「ならば────回り込むことができるかもしれないな」

 先んじて討伐または捕縛することを躊躇っていたのは、相手が人間と魔獣・魔物の混成集団だからだ。【認識妨害(ジャミング)】は知能の低い魔物や魔獣には効かない。

 教会へと繋がる階段は、入り口とは反対側───つまり、ルガレドたちからすると奥の方にある。だから、下手に追い詰めて、教会ひいては平民街に逃げ込まれることを恐れ、手を拱いていた。

 だが───その魔物や魔獣が、ディルカリド伯爵に隷属して、じっとしている状態ならば────

「【認識妨害(ジャミング)】で姿をくらませ────魔術陣あるいは魔導機構を避けて、階段前まで回り込むことができるのではないか?」

 もし───回り込むことができれば、教会へ逃げ込むことを恐れることなく、修復を待たずして討伐または捕縛が可能だ。

「そうですね────それは…、現状では最善かもしれません」

 ルガレドは、先程、リゼラが創ってくれた腕時計で時間を確かめる。

 この事態では、懐中時計だと手間になるので即席で創ってくれたのだ。時間もなかったため、デザインはラムルのものと完全に同じで、【認識妨害(ジャミング)】と【往還】だけしか施されていない。

 【最新化(アップデート)】完了まで────まだ30分以上ある。

「神眼で視て、魔術陣もしくは魔導機構の範囲が特定できるようなら───潜入を開始する」
「かしこまりました」

 ルガレドの宣言に、ディンドが応え、仲間たちは一様に頷いた。


◇◇◇


 隷属の魔術あるいは魔導機構の魔術陣らしきものは中央に広がり、端の方までは及んでいないことを神眼で確認することができたルガレドは───仲間と共に、【認識妨害(ジャミング)】で姿をくらませた状態で、教会へと繋がる階段に向かっていた。

 ルガレドの読みは当たり────魔獣あるいは魔物は、こちらに気づいて目を向けはするものの、襲っては来ない。


「旦那様───何だか、様子が変です。魔術陣の光が薄くなってきています」

 中程まで来たとき、珍しく慌てた口調でラムルが進言する。

 ルガレドは足を止めず、視線だけを遣った。ラムルの言う通り───確かに魔術陣の光が先程よりも弱くなっている。

 それは何故か────考えを廻らせたルガ
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