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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#5
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ズいかもしれない。もし、魔獣がここに解き放たれたら───被害は相当なものになる…)

 カデアは、改めてそう実感して────ぶるりと身震いした。

 どうにか止めなければ────そんな強い思いに突き動かされ、カデアは足を速める。

 ルガレドが神託を受けた際に同行はしたが、あのときは皇城から馬車での訪問だったので、予め皇都の【立体図(ステレオグラム)】で場所を確認してきたカデアは、迷うことなく教会へと辿り着いた。

(まずは────エデルを探さなくては)

 門を潜り、辺りを見回してみると────重厚な石造りの教会の向こうに広がる庭に、ちらりと墓石が見えた。先に墓地を確認しようと、そちらへ向かう。

 教会に墓地が併設されているのは珍しく、大抵の町や村は、郊外の山や丘に墓地がある。

 城壁や建物に囲まれているからか────カデアには、これまで見たことのある墓地に比べて、ここの墓地は狭く感じた。

 墓地には墓参りに訪れている者はいないようで、閑散としていた。念のため、奥まで行ってみると人影が見え、カデアは足を止める。

(あれは、ゾアブラを護衛していたという男の一人…。確か、皇妃の元専属騎士で───名はペギル=ラス・オ・バヤギル)

 見覚えのある男が、教会の壁に寄りかかって寛いでいた。

 まあ、見覚えがあるといっても────実際に会ったことがあるわけではく、リゼラが自身のオリジナル魔術【描写】で、記憶からゾアブラとその護衛二人の容姿を描き出してくれたため、容姿を把握しているだけであるが。

 ペギルは、バヤギル子爵の三男だが───騎士を免職された際に除籍されて、現在は平民となっている。

 辺りを探ってみたものの、護衛していたもう一人の男は、見当たらない。

 ペギルのことを少し観察してみたけれど、何も得るものがなさそうなので、カデアはその場を後にした。

 教会に入る前に建物の周囲を回ってみたが、出入り口は正面玄関のみらしい。貴族も訪れるせいか、玄関には、簡素な印象だがよく見ると繊細な彫刻が彫り込まれた───分厚く、重そうな観音開きの大きな扉が設えられている。

 扉は限界まで開かれた状態で、ちょうど参拝に来たらしい貴族の集団が中へと入っていくところだった。

 玄関前に横付けされた馬車が、墓地とは逆方向の庭に設けられた待機所へと向かって走っていった。

(馬車の家紋から見るに───今、参拝に訪れたのは…、アルゲイド侯爵家)

 アルゲイド侯爵家は、ガルド=レーウェンの側近が興したレーウェンエルダ皇国としては古参の貴族で────反皇妃派の筆頭の一つだ。

 確か、三女となるご令嬢が成人したはずだから、参拝をするのはそのご令嬢だろう。

 参拝者がご令嬢の場合───大
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