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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#4
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──おっと、失礼。旦那様、どうなさるおつもりで?」

「…………固定魔法を使おうと思う」

 ルガレドはちょっと憮然としながら、ラムルの問いに答えた。

 【つがいの指環】のおかげで、ルガレドも物に【防衛(プロテクション)】を施すことが可能となったが────リゼラによれば、【防衛(プロテクション)】をかけてしまうと【最適化(オプティマイズ)】をすることはできなくなるとのことなので、ここは固定魔法の方がいいだろう。

 固定魔法【結界】を通路全体に施してしまえば、とりあえず崩れてくることはないはずだ。

 この地下施設の【最新化(アップデート)】に魔素を回しているせいか、周囲に漂う魔素が少なく感じたルガレドは、自分の魔力を編み上げて、通路全体に【結界】を張り巡らせた。

 神眼で視てみると、坑道を煌く網が覆っているのが見て取れる。

「固定魔法を施したから、これで崩れる心配はないぞ。良かったな───ヴァルト」

 お返しとばかりに、ルガレドがヴァルトを名指しで告げると、ヴァルトは少し慌てたように反論した。

「いや、ワシは別に恐れてるわけではないですから。ただ、ちょっと───狭い場所が嫌なだけというか…、生き埋めになったら嫌だなと思っただけで」

 ヴァルトは、どうやら狭い場所が苦手らしい。まあ、ヴァルトの場合は戦い方が大振りだから、やりにくいというのもあるのかもしれない。

「狭い場所が怖いなんて────情けねぇな、ジジィ」
「…うるせぇ。別に怖いわけじゃないぞ。嫌なだけだ」

 ここぞと揶揄うハルドに、ヴァルトは拗ねたように、そっぽを向く。そんな二人を、セレナは口元に微笑みを浮かべて────優しい眼で見ていた。


「さて────しばらくは、ここで待機だな」

 坑道の端まで行き、ディルカリド伯爵たちがいる区画への入り口まで辿り着くと────ルガレドは、足を止めた。念のため、【認識妨害(ジャミング)】を施しておく。

「…修復完了まで、およそ45分か」

 時間を確かめると、意外と経っている。最寄りの【転移門(ゲート)】からここまで結構、距離があったようだ。

(修復が、どうにか間に合えばいいが…)

 ルガレドは【索敵】を発動させて、ディルカリド伯爵一味と魔獣、魔物を確認してみる。先程、リゼラと共に探った際と変わりはなく、少しだけ安堵した。

「奴らに何か動きはありましたか?」

 ルガレドの行動に目敏く気づいたディンドに訊かれ───ルガレドは、首を横に振った。

「いや。先程と変わりはない」

 現在、この拠点にいる人間は───ディルカリド伯爵、その息子であるバレスとデレド。そして───ヴァルトの兄でハルドの祖父であるドルト、ハルドの父ウルド、ハルド
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