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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#4
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これ、シューからのお手紙」
「ありがとう、ネロ!」

 私は早速、手紙を開いて目を通す。

「リゼ────ロウェルダ公爵は何て?」
「……教会へは、“デノンの騎士”を向かわせてくれるそうです。だから───レド様と私は、教会へは、決して近づかないように────と」
「そうか」

 レド様は、カデアに向き直る。

「カデア───エデルの保護と斥候を任せる。決して正体は気取られるな。だが───緊急の場合は、魔術、神聖術を躊躇うことなく使え。後のことは考えなくていい、お前とエデルの生命を優先しろ」

「かしこまりました」

 カデアが頭を下げるのを見ながら────私はふと考える。

 【臣下(アンダラー)】同士でも、【念話(テレパス)】はできる。それなら───ネロと他の仲間たちはどうなのだろう、と。

 ネロは私の【使い魔】で、カデアは私の加護を受けた【聖女】だ。できてもおかしくないような気がする。

「ねえ、ネロ。ネロは、離れていても私の声が聴こえるんだよね?」
「うん、どこにいても聴こえるよ」

「それじゃ、ここにいる皆やラナ姉さんの声は?」
「もちろん、聴こえるよ。みんな、リゼとつながっているからね。精霊獣のみんなとも話せるよ」

 私の質問の意図を悟ったレド様が、口を挟む。

「それでは───ネロ。カデアが呼びかけたら、話を聴いて、俺たちに教えてくれるか?」
「それ、リゼのお願い?」

 ネロが、レド様から私へとそのキラキラと輝く大きな眼を向けて、訊ねる。

「そうだよ。お願いできる?」
「いいよ」
「ありがとう、ネロ」

 私がレド様に視線を移すと、レド様は私に頷いてから、カデアに再び顔を向けた。

「カデア───何かあったらネロに知らせてくれ」
「かしこまりました」

 再び頭を下げて踵を返したカデアに、私は声をかける。

「カデア、孤児院を経由するなら───念のため、白炎様に事の次第を伝えてくれませんか?」

 もし、最悪の事態となってしまった場合、孤児院を護ってくださっている白炎様にも事は及ぶ。伝えておいた方がいい。

「かしこまりました」

「それと───エデルを頼みます」
「お任せください、リゼラ様。エデルは、このカデアが必ず無事に連れ帰ります。ですから───ご心配なさらないでくださいな」

 カデアは力強く請け負い、屈託なく笑ってくれた。

 暫定ではあるけれど───私はエデルの主だ。仕えてくれる使用人を護る責任がある。

 だけど───それだけではなく、私はエデルに生きていて欲しかった。酷い目にも遭って欲しくない。

「ありがとうございます、カデア。ですが───無理だけはしないでください。私は貴女にも無事に戻って欲しい
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