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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#3
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た。読んでもいいということなのだろう。男は受け取って、手紙の文字に目を落とす。
「これは───昨夜、報せてきたもう一つの件か…」
手紙から顔を上げた男は、ローブのフードを後ろに下ろした。わざと屈めていた背筋を伸ばし、お茶を淹れて戻って来たロヴァルに顔を向ける。
「ロヴァル、すまんが───筆記具と紙を持って来てくれ」
「かしこまりました」
「正直、ジェスレムはどうなっても構わないが───民に犠牲者を出すわけにはいかない」
「どうなさるおつもりで?」
「“デノンの騎士”を向かわせる」
男の言葉に────シュロムは、いつもの微笑みを浮かべた。
男は、垂れ下がる作り物の眉の隙間から濃紫の瞳を覗かせ───先程のようなしゃがれたものではない、確りとした声音でシュロムに命じる。
「シュロム────リゼラに返事を。決して…、教会へは行ってはならぬ───ルガレドを教会へ行かせるな、と」
ジェスレムが魔獣に襲われているところに、ルガレドが現れれば───皇妃一派によって確実にルガレドが首謀者とされてしまうだろう。それだけは避けなければならない。
男に向かって、シュロムが右手を胸に当て首を垂れた。そして───厳かに応える。
「仰せのままに────皇王陛下」
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