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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#3
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れで───昨夜、知らせて寄越した件は…、確かなのか?」
「まだ確認はできていませんが───あの子が言ったのです。疑う要素がない。まあ───それでも確認はするつもりですが」

「リゼラ───か。契約の儀で、久しぶりに見たが───大きくなったな。それに、とても美しくなった。あれが惚れるのも解るよ」
「はは、そうでしょう。すごい入れ込みようですよ。まるで、若き日の貴方のようだ」

 つかの間、漂う空気が和む。


 男は、話を戻すべく再び口を開いた。

「しかし───バナドル王とその側妃に関する文献をシャゼムが持ち出していたとはな。儂はてっきり、ベイラリオの奴が廃棄したとばかり思っていた」
「廃棄されると解っていたから、シャゼム老は持ち出したのでしょう。まあ、でも───シャゼム老が持ち出してくれていて良かった」

「そうじゃな。それで────どうするつもりじゃ?」

 男がそう問うと、シュロムは────常に浮かべている柔らかな笑みを深めた。

「まずは、判明した事実のお披露目をしなければ───ね。ただ文献を見せるだけでは、あのクズどもは信じようとはしないでしょうから───信じざるを得ないような状況を創り上げるつもりです。そして───あの毒婦を引き摺り下ろして────クズどもも一掃する」

 決意の表れか、強い光を湛えたシュロムの眼が煌いた。

 シュロムならば────必ずそれをやり遂げるだろう。

(この男は、凡庸な儂と違って────優秀だ。それに、意志も強い)

 男がそんなことを考えていると────ふと、シュロムが自分の右肩に視線を遣った。

「…何だい、ロビン。ああ───この方は、知られても大丈夫だよ」

 シュロムがそんなことを呟くと、不意にシュロムの右肩に小鳥が現れた。小鳥はその円らな瞳を男に向け、ちょこんと首を傾げる。

「その小鳥は────」
「リゼの使い魔です」

 話には聴いているが、男の眼には普通の小鳥にしか見えない。特異な点といえば、蒼い魔水晶(マナ・クォーツ)のようなものが額に輝いているところか。

「ネロが来ています。何でも、姫から手紙を預かっているそうです」
「リゼからの手紙?」

 ロビンと呼ばれた小鳥の言葉に、シュロムは珍しく笑みを消すと────ソファから立ち上がった。

「ネロ、出ておいで。この方になら、姿を見せても大丈夫だから」

 シュロムがそう呼び掛けた直後、ソファセットから少し離れたところに、手紙らしきものを咥えた黒猫が忽然と姿を現した。

 シュロムは黒猫の前に跪いて、手紙を受け取る。シュロムは立ち上がると同時に、手紙を開いて目を通す。

「これは────」
「どうした?」

 シュロムは戻って来て、手紙を男に差し出し
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