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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#3
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ド伯爵たちは1ヵ所ではなく、散らばっているので一遍に捕縛できない。

 捕縛している途中で、誰かに気づかれて────魔獣を教会に放たれたら、どうしようもない。

「『ジェスレム皇子を教会に行かせない』───これなら、可能なのでは?」
「いや───それは難しいな。俺たちにはジェスレムを引き留める手立てがない。手立てがあったとしても───あのジェスレムのことだ。陛下の勅命でも素直に従うとは思えない」

 普通なら───ディンド卿の提案が一番、簡単に実行できそうなものだけど、ジェミナ皇妃もジェスレム皇子も、自分の要望を押し通すことに慣れ過ぎていて───レド様の言う通り、従うことはない気がする。

 何か騒ぎなどを起こして時間を稼ぐにしても───権力で突破してしまいそうだ。

「残るは────『【最新化(アップデート)】を急ぐ』だな。それは可能か、リゼ」
「注ぎ込む魔素量をどうにか増やすことができれば────可能かもしれません」

 今───私はノルンと存在自体を【(シンクロナ)(イゼーション)】して、精霊樹の魔素を流用している。
 本来ならば、拠点の主となるレド様と私の魔力を注ぎ込むところを───精霊樹の魔素を代わりに注ぎ込んでいる。

 レド様が私を案じていたこともあるけれど、この後、魔獣討伐が控えていたため、レド様と私の魔力は一切使わずに温存していた。

 レド様と私の魔力も注ぐ?────いや、論外だ。

 レド様も私も魔力量は並外れているけれど、それでも、この広大で特殊な建材と魔導機構でできている地下施設を【最新化(アップデート)】するには足りない。

 共有魔力も使い切れば完遂することができるかもしれないが、レド様も私も魔力切れで動くことができなくなる。魔獣の群れとの戦闘を視野に入れると、それはすべきでない。

 引き出す精霊樹の魔素量を増やす?────それは、不可能だ。

 今、私は───私という器の限界まで使って魔素を引き出している。これ以上は無理だ。魔獣化はしないだろうが、魂魄はともかく身体が壊れる恐れがある。

 レド様は私よりも器が大きいが、ノルンと存在を【(シンクロナ)(イゼーション)】できない。

 ノルンの主だから、ノルンを通して精霊樹の魔素を引き出すことはできるだろうけど、そのやり方では引き出せる魔素量が減ってしまう。よって、レド様に代わってもらうのは意味がない。

 だけど────それならば、どうする?どうすればいい?

「…………」

 考えろ───考えるのを止めるな。絶対に、何か手立てがあるはずだ。

 これ以上は精霊樹の魔素を引き出せないのなら────別の魔素か魔力を使うしかない。別の魔素────そうだ…!

「ノルン!【|魔素炉
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