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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#3
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りする手紙としては、書式や作法を無視したかなり失礼なものになってしまったが、おじ様なら汲み取ってくれるはずだ。

「レド様、これでよろしいですか?何か付け足すことはありますか?」
「いや、大丈夫だ」

 レド様は、私が書いた手紙にさっと目を通し、首を横に振る。
 私はレド様から手紙を受け取ると、それを畳んでネロの口元へと近づける。

「それじゃ、ネロ───これをおじ様に届けてもらえる?」
「任せて!」

 ネロは畳んだ手紙を口に咥え、現れたときと同様、忽然と姿を消した。

「カデア───邸に戻って、皆を連れて来てくれ。おそらく魔獣と戦うことになる。その旨を伝えて、準備を頼む。それと、ラナに連絡をしておいてくれ。ラナもエデルも孤児院から決して出るな、子供たちも出すな───と」

「かしこまりました」

 レド様の言いつけを実行するため、カデアが【転移門(ゲート)】でお邸に帰るのを横目で見ながら────私は、最善を考え始める。

 皆が来るなら、ソファ一式が邪魔になるので───ノルン、レド様、ディンド卿にソファから退いてもらい、ソファセットと円テーブル、それに文具をそれぞれ戻した。

 それから、この地下施設の【立体図(ステレオグラム)】を空中に投影して、今度は【最新化(アップデート)】の進行状況を反映させる。

 すぐに、レド様、ディンド卿、ラムルが、【立体図(ステレオグラム)】を囲う。

「どうする、リゼ」
「そうですね…。対策としては───『【最新化(アップデート)】を急ぐ』、『事前にディルカリド伯爵たちを捕縛する』、『ジェスレム皇子を教会へは行かせない』────今、思いつくのはこれくらいです」


「一番、実行可能なのは───『ディルカリドたちを捕縛する』ことか?」
「いえ───それは、悪手かもしれません」
「何故だ?」
「ここを見てください。ディルカリド伯爵たちがいるこの場所は、現在、ほぼ孤立した状態で───地下から行くとしたら、入り口は1ヵ所しかありません。突入して時間をかけずに、ディルカリド伯爵たち、魔獣、魔物すべてを、捕縛あるいは討伐できればいいですが、もし逃亡する隙を与えてしまった場合、この階段から教会に逃げ込み───それこそ平民街へと出てしまう可能性があります」
「確かに────ありえるな」

 【立体図(ステレオグラム)】の私が指さした個所を見て、レド様は納得したように頷く。

 ディルカリド伯爵たちだけなら、【認識妨害(ジャミング)】やジグ、レナスの技能を活用して捕縛すればいいのだけれど────魔獣や魔物がいるために、それもできない。【認識妨害(ジャミング)】は、仕組みが暗示に近いため、知能の低い魔物や獣には効果がないのだ。

 また、ディルカリ
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