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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#3
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「坊ちゃま、リゼラ様───ラナから緊急の連絡です。今日の午後、ジェスレム皇子が参拝のため教会を訪れるとのことです」

「今日の午後…?!」

 カデアの報告に、私は思わず声を上げた。先程までの緩やかな空気が、瞬く間に張り詰める。

「それは確かか、カデア」
「はい。エデルが得た情報です。何でも、エデルはゾアブラを護衛していた二人の男が密談しているところに遭遇したらしく───その男どもの話によれば、今日の午後、ジェスレム皇子が参拝する瞬間を狙って、魔獣を(けしか)ける計画のようです」

「ラナは、何故こちらに連絡してこなかった?」
「それが───私も試してみたのですが、どういうわけか、ここにいる何方(どなた)にも【念話(テレパス)】が通じませんでした。それで、直接、こちらに参ったのです」
「【念話(テレパス)】が通じない?」

 もしかして────【不可知(アンノウアブル)の合板(・プライボード)】のせい?

 験しに、孤児院にいるはずのラナ姉さんに対して、【念話(テレパス)】を発動してみたが、繋がらない。

 ふと思いついて、白炎様に呼びかけてみたが、やはり繋がらなかった。

「リゼ、地下施設の修復が完了するまで、あとどのくらいかかる?」
「順調にいっても────あと3時間ほど必要です」

 【最新化(アップデート)】は、この【管制室(コントロール・ルーム)】を起点として、徐々に円が広がっていくように為されている。

 教会に繋がる階段は、端に近い。辿り着くには、まだまだ時間がかかる。

「今、何時だ?」
「11時19分です」

 レド様の問いに、ラムルがすかさず答える。

 “今日の午後”───貴人にありがちな曖昧な予定だが、あと3時間もかかるのでは間に合わないかもしれない。

「リゼ───至急、ロウェルダ公爵に連絡を取ってくれ」
「解りました」

 とはいうものの、やっぱりロビンに呼びかけても応えはない。精霊獣ならあるいはと思ったけれど────駄目か。

 それなら────

「ネロ!」
「なあに?」

 忽然と現れたネロに、私は安堵の息を零す。
 ネロはそんな私に、いつものように可愛らしく首を傾げた。

「ネロ、お願いがあるの。急いで、おじ様のところに行ってきて欲しいの」
「シューのところに?いいよ」

 伝言を頼もうとして、おじ様の状況によっては、手紙の方がいいかもしれないと思い直す。

「ごめん、ちょっと待っててくれる?今、おじ様に手紙を書くから」
「わかった」

 アイテムボックスから円テーブル、自室からレターセットと硝子ペンとインクを取り寄せると────簡潔に用件だけを書き留める。

 貴族間で遣り取
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