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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#2
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すれば、女性に好かれそうな容貌をしている。
エデルはそれに対して別に思うことはなかったが────その後に続けられたペギルの言葉に、一瞬、思考が止まった。
「それに、あの───ルガレド皇子の親衛騎士の女。あの我が儘女のことだって、オレに任せてくれれば、落として───言うことをきかせてみせたのに。あの女────ジェミナのババアと違って、顔と体つきは良かったからな。あれなら、ちょっとくらい性格は悪くても、傍に置いてやってもいい」
(ああ?何言ってんだコイツ────リゼさんを落とす、だと?お前ごときにリゼさんを落とせるわけねぇだろ!何が『傍に置いてやってもいい』だ!そもそも、お前なんぞ、リゼさんは眼中にも入れてねぇよ!)
エデルは、ペギルに烈しい嫌悪感を覚え────それが怒りという感情だと無自覚なまま、心の中で悪態をついた。
ペギルの相棒であるはずのヒグスも、その発言には嫌悪を露にしている。
「……それは、どうだろうな。あの娘────俺たちがゾブルの助けに入ったとき、お前の顔を見ても興味を持ったようには思えなかったが」
「あの状況だ。オレのこと、よく見ていなかっただけだろ」
事実はヒグスの言う通りだったが、ペギルは自分に都合よく解釈して取り合わない。
せせら笑うペギルを見るに───ヒグスが自分を妬んでいるとでも思っていそうだ。
(ペギル────コイツに同情してやることはねぇな)
ルガレドもリゼラも、この件の首謀者や協力者には、ジェミナ皇妃とジェスレム皇子の被害者であるために同情的だったが────このペギルという男に関しては、情状酌量する必要はなさそうだ。
エデルは、先程のペギルの発言を一言一句違えることなく、ルガレドにきっちり報告することに決めた。
(だが───その前に、今日の午後にジェスレム皇子が参拝するということを───奴らがジェスレム皇子を魔獣に襲わせるつもりだということを、リゼさんに報告しなければ。孤児院に戻るのが一番、手っ取り早いか……)
孤児院にはラナがいる。エデルはリゼラに直接、連絡を取る手段を持っていないので、ラナに伝えてもらうしかない。
腕時計に施された【往還】で邸に帰ることも考えたが────それでは皇城から出るのが難しくなる。
エデルは、リゼラに報告を入れた後、教会をもっと調べるつもりだった。
念のため、ヒグスとペギルの会話を最後まで聴いてから、エデルは孤児院に戻るため、教会を後にした────
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