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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#2
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エデルは、木の陰に隠れている人物と、あの皇妃の元専属騎士である男から見えない位置まで来ると───周囲を確認して誰もいないことを確かめ、腕時計に付与されている【
認識妨害
(
ジャミング
)
】の範囲を拡大させた。
そして、踵を返して墓地へと戻る。
案の定───木の陰に隠れていた人物は、墓地に誰もいなくなったと思ったようで、姿を現した。
それは、エデルの予想通り────ゾアブラを護衛していたもう一人の男だった。
元専属騎士の男の方に向かって歩いて行く。元専属騎士の男は、近寄って来る人物に気づいたらしく、振り向いた。
「よう、ヒグス」
木の陰に隠れていた人物は、ヒグスという名のようだ。
「…あまり大きな声で名前を呼ぶな、ペギル」
「誰もいないんだし、大丈夫だろ」
声を潜めて嗜めるヒグスに対し───ペギルと呼ばれた元専属騎士の男は、別段、声を抑えるでもなく気軽に返す。
「それより───今日の午後、ジェスレムが参拝に来るって聞いたが、一体どういう事態になっているんだ?」
「ゾブルが殺そうとした男を助けた女───あれが、“双剣のリゼラ”と呼ばれるSランカー冒険者で、ルガレド皇子の親衛騎士だということが判明した」
「…あの女が?我が儘で傲慢な────公爵令嬢の?」
「もう除籍されているから、元だけどな。だから、念のため、急ぐことになった。参拝しているところを、魔獣に襲わせる予定だ」
ヒグスは、感情を抑えたような声音で───淡々と告げる。
「おい───まさか、手引きをオレにさせるつもりじゃないよな?」
「…それは、ゾブルがやる。ゾブルは今、ここ数日休んでいたことを詫びに、司祭のところに行っている」
「ようやく、戻って来たのか。それで?オレはこれでお役御免ということでいいんだよな?」
「いや。全てを見届けてから、騒ぎに乗じてゾブルを連れて撤収するように────と、閣下よりお達しだ」
「はあ?オレがゾブルの奴を連れて逃げなきゃいけないのか?」
「…逃げる際は、俺も手を貸す」
「そんなの当たり前だ。ちっ、何でオレがこんな役目なんだよ。ゾブルの甥となって、教会の雑役をやるとか────どう見ても、オレには合わないだろ。お前がやれば良かったんだ」
「……閣下が決めたことだ」
“ゾブル”とは、ゾアブラがジェスレム皇子に呼ばれていた名だ。
リゼラの読み通り、ゾアブラは名前をレーウェンエルダ風に変え、名乗っているらしい。
「聞き込みや見張りをするには、オレは目立ち過ぎるからだって閣下は言っていたが────どう考えても、采配ミスだろ。女相手なら、絶対オレの方がうまく聞き出せるのに」
ペギルは、自分という存在に、随分、自信があるようだ。確かに、一般的な観点から
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