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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十五章―過去との決別―#1
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ようとして────そこから少しだけ離れたところに、魔物や魔獣、人間を模した駒のようなものが点在しているのが目に入る。これはディルカリド伯爵たちだ。位置やポーズは、先程、レド様が【千里眼】で視た時点でのものとなる。

 不意に───この地上に続く階段の位置に思い当たった。

「リゼ?」

 レド様の心配そうな声が耳に入るが、答える前にちゃんと確かめたい。

 私は───以前、レド様が作製してくださった皇都の【立体図(ステレオグラム)】を投影して、縮小率を合わせてから、方向を調整しつつ地下施設の【立体図(ステレオグラム)】に重ね合わせる。

「やっぱり…。ここは────この階段の上に続くのは」

 忘れもしない────私が“神託”を受けたあの教会だ。

 高所得者が住むエリアとはいえ、何故、平民街のしかも奥まったところにあるのだろう、と────他の町の寂れた教会ならともかく、貴族も訪れるドルマ連邦にある本部よりも立派な教会なのに、どうしてもっと大通りに近い場所に建てなかったのだろう、と────通りかかる度に不思議には思っていた。

 そうか───この穴を塞ぐため、あるいは利用するために───ここに建てるしかなかったんだ。

 ディルカリド伯爵家になら────教会から地下施設へと出入りできることが伝わっていてもおかしくない。

 ディルカリド伯爵がどの【転移門(ゲート)】を使用していたかは、まだ調べていないが───現存する8基のうち外部に設置されているのは3基しかない。

 そのどれもが、皇城内や貴族街など一般庶民では立ち入りが難しそうな場所にばかり設置されている。

 よって、身分を剥奪されて潜伏しているディルカリド伯爵が、【転移門(ゲート)】を利用できるとは思えない。

 それなら────教会から出入りしている可能性は高い。

 ゾアブラの息子ザグレブは教会の無縁墓地に葬られたと、エデルは言っていた。この皇都に、教会は他にない。
 おそらく、ディルカリド伯爵とゾアブラの接点は────ここだ。

 そして────ゾアブラが、ガラマゼラ伯爵とディルカリド伯爵を引き合わせた…?


「レド様────何故、ゾアブラがジェスレム皇子に参拝するよう唆したのか、判りました。ここは、教会の真下に当たり────この階段で繋がっているようです」

 レド様とディンド卿が、私の言葉に眼を見開く。

「ディルカリド伯爵たちは、ここから魔獣を投入するつもり────ということか…?」
「…おそらくは」

「だが────ここは…、平民街だぞ。ジェスレムたちに、魔獣を討伐できるとは思えない。ジェスレムたちを襲った後────もし…、魔獣が教会の外に出たりしたら────」

 教会の周囲は住宅街だ。レド
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