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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#8
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くこともなく、場違いな微笑みを浮かべたまま────ただ今回の一件が誰かの仕業であることをファミラに明言させようとするだけで、ファミラのケガのことは一切言及しようとしない。

(ああ、この人は────リゼラだけじゃなくて…、わたしのことも見ていなかったんだ────)


 ファミラは、自分が思っていた───“万人に傅かれるような才能を持つ尊い存在”でも、“どうしようもない妹を心配する心優しい姉”でもなかった。

 何よりも────“兄妹の中で唯一人、母の愛を一身に受ける娘”などではなかった。

 これまでしてきた自分の所業を思えば────兄も妹もファミラのことを許してはくれないだろう。

 この腕では結婚もできない。それなのに────誰かに助けてもらわなければ、生活することもままならない身となってしまった。

 だけど────きっと、誰にも助けてなどもらえない。

 すべての妄執が突き崩されてしまった今───ファミラには、もう絶望しか残されていなかった────

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