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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#8
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腕を翳した。
目に入ったのは、隙間なく包帯が巻かれた、短すぎる腕。まるで───肘までしかないような。
「ぁ…、そんな…、そんな───夢じゃ、なかっ、た…?」
両腕を失くしたという事実に、ファミラの唇が恐怖で
戦慄
(
わなな
)
く。
「う、うそでしょ────そんな…、そんな────わたしは、これからどうすれば────」
これでは、誰かに嫁ぐことなどできないだろう。傷物どころの話じゃない。
それどころか────両手がなければ、何もできない。
晩餐会に参加して食事をすることも───最高級のお菓子を持ってこさせてお茶をすることも───眩い宝石を嵌め込んだアクセサリーを持ち上げることも───もう何も────何ひとつできない。
「あああぁああっぁぁぁあああああぁっぁああああ…!!」
込み上げる激情が叫びとなって、ファミラの喉元から迸る。ファミラは、絶望に囚われ────ただ喚き続けた。
ファミラの喚き声に混じって、荒々しい足音が聞こえたかと思うと、大きな音を立てて扉が開かれた。
傾
(
なだ
)
れ込むように誰かが部屋に入って来たが、ファミラは、意識を向けることなく、絶望に浸っていた。
「ファミラ…!」
聞き慣れた───待ち望んでいたその声に、ファミラは、ぴくりと身体を震わせ、涙に濡れた顔を上げる。
「ぁ、おかあさま…?」
「ええ、わたくしよ、ファミラ!」
レミラの声を聞いて───その姿を目にして、あんなに肥大していたファミラの絶望は、いとも簡単に霧散していった。
(お母様が来てくれた。ああ、もう大丈夫だわ…!)
レミラなら何とかしてくれるはずだと、何の根拠もなく考える。
「お母様…!」
ファミラは、レミラに抱き締めて欲しくて────短くなってしまった両腕を精一杯、レミラに向けて伸ばした。
だけど、レミラは、ファミラを抱き締めてくれることはなく────ファミラの将来について語っていたときのように微笑んだ。
「お母様…?」
見慣れたはずの母の笑顔に───聖堂でのジェスレムに似たものを感じ、ファミラの中に再び不安が湧き上がる。
「ねえ、ファミラ。これは───
ア
(
・
)
レ
(
・
)
の
(
・
)
仕
(
・
)
業
(
・
)
なのよね?」
「え?」
「ねえ、そうなんでしょう?貴女が、ジェスレム皇子を護れなかったのではなくて────アレに嵌められただけなのよね?そうでなかったら、有能な貴女が失敗するはずなんてないもの。ねえ────そうでしょう?」
「お、お母様…?」
「わたくしは、ちゃんと解っていてよ。貴女は、有能で───皆から尊敬されて、傅かれるべき尊い存在だもの。失敗することなどありえないわ」
レミラは、ま
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