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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#8
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ミラは背中を硬い何かに叩きつけられていた。

 ずるずると身体が滑り落ちて、ファミラは仰向けとなった。

 身体が自分のものではないみたいに自由が利かない。感覚が何かを激しく訴えているが、それが大き過ぎて掴めない。

 耳鳴りが酷くて周囲の状況も判らなかったが────自分はあの化け物に吹き飛ばされて、壁に激突したのだと理解する。

 仰向けに倒れたファミラの視界に、あの化け物が再び入り込んだ。

(に、にげ、なきゃ…、ころされ、ちゃう…っ)

 そんな思いが湧き上がり、身体を起こそうと両腕を動かす。

 両腕を支えにして起き上がろうと考えていたファミラは、両腕がちゃんと動いたのに、両手が地面に触れないことを不思議に思い────自分の両手を翳した。

「ぁ、そんな────うそ…」

 ファミラの目に映ったのは────どちらも、肘から先がちぎれた両腕だった。断面からは、未だに血が噴き出している。

 自分の両手がちぎり取られたことを目の当たりにして────ファミラはようやく自分の感覚が何を訴えていたのか知った。

「ぁ、あ、あああああぁあああぁぁぁ…!!」

 大き過ぎる痛みがファミラの感覚を焼き────ファミラは絶叫せずにいられなかった。

 涙で視界がぼやける中、あの化け物を目の端に捉える。

 ファミラは、痛みにのたうち回りながら、頭の隅で────ああ、自分は死ぬのだと悟った。途端に、これまで以上の恐怖が湧き上がる。

(いやだ────いやだ、しにたくない、しにたくない…!だれか…、だれか────おかあさま…!)

 浮かんだのは────ファミラの絶対的な味方であった、母レミラだ。

(たすけて────たすけて、おかあさま…!)

「ファミラ…!!」

(おかあさま…、おかあさま────こんなによんでるのに、どうして、たすけにきてくれないの…?)

 徐々に薄れていく意識の中、そんな支離滅裂なことを考えながら────ファミラは、誰かが自分の名前を叫んだのを、確かに聞いた────


◇◇◇


(ああ…、何だ────全部、夢だったんだ…。良かった…)

 瞼を開けて────自分が眠りから覚めたのだと気づいたとき、ファミラは深い安堵を覚えた。

 本当に嫌な夢だったと思いながら、目を伏せて────改めて眼を開いたとき、ふと違和感が走った。

 仰向けでベッドに寝ているファミラの眼には天井が映っている。生家の自室も、ジェスレムの皇子邸で宛がわれている部屋も、天蓋が施されているため、天井が目に映ることはありえない。

 見知らぬ場所で寝かされていたことに、嫌な予感が湧き上がった。

 ファミラは、その嫌な予感に打ち震えながら────あのときのように、両
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