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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#8
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に───眼が大きく開かれ、笑っているようには見えないからだ。
「さあ────今度は、ファミラの番だよ」
先程と同じ───優しく聞こえる柔らかい声音。
「ぁ、で、でも…、わ、わたしは───わたくしは、新成人では、ない、ので」
鼓動の音が煩くて、自分の声が認識できず、上手く喋れない。
それでも、どうにかファミラがそう答えると────ジェスレムは、その不気味な笑みを深めた。
「参拝とは神に感謝を捧げる行為なんだから────別に、新成人しかやってはいけないというわけではないよ。ねえ、司祭────そうだよね?」
「仰る通りでございます」
舞台の下に控える司祭は、ファミラの様子には何も気づかないようで───穏やかに微笑み、ジェスレムの言葉に
肯
(
うなず
)
く。
「さあ、ファミラ────早くしろ」
先程とは打って変わって、唸るような低い声でジェスレムに冷たく命じられ───ファミラは、また震え出した足に力を入れて、踏み出した。のろのろと魔術陣へと歩いていく。
抱えていた魔剣を足元に置いて何とか跪き、ジェスレムの方を横目で窺うと、ジェスレムは、護衛と共に舞台から降りるところだった。
(な、何で…?)
舞台上に一人取り残されたことに、不安が掻き立てられ────ファミラは動揺した。ファミラの身体が、小刻みに震え始める。
それは、恐怖から来るものだと思ったが─────
(違う────これは…、わたしが震えているわけじゃなくて────舞台が揺れているの…?)
揺れは徐々に大きくなり───舞台だけでなく、周囲の壁も音を立てて揺れ始めた。
建物が軋む音に混じって、舞台下の方で小さな悲鳴が聞こえたが、転がらないよう柱にしがみ付くことに精一杯なファミラには認識する余裕もない。
ぴしり───と、妙に不安を煽る音を耳にして、ファミラは反射的に顔を上げて、正面のタペストリーに眼を遣る。
タペストリーの両脇の石壁に、稲妻のように亀裂が走っていくのを、ファミラは意味も解らず────けれど、眼を逸らすこともできずに、ただ見つめていた。
亀裂の入った石壁が崩れるのと、巨大なタペストリーが無残に破かれたのは、ほとんど同時のことだった。
石壁とタペストリーが崩れ落ちると、前方にぽっかりと空間が現れる。
その向こうにまだ壁があることから、最奥だと思っていた壁のさらにその奥に元々空間があったのだと、ファミラでも判った。だが、そんなことはどうでもよかった。というよりも────それどころではなかった。
何故なら、そこに────壁を壊し、タペストリーを破いた存在が佇んでいたからだ。
それは────2頭いた。
どちらも、身の丈が3m近くあり
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