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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#7
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ヒロインにでもなったみたいで────ファミラはその気分を味わうためだけに、嘘を吐き続けていた。

 すでに本来の目的を見失っていたが、ここにきて、あのとき母の言っていたことが正しかったのだと判って───あの出来損ないが自分を陥れようとしているのだと解って、ファミラは怒りでどうにかなりそうだった。

(教会に着けば、ジェスレム様とお話しできる。そのときに、アレが言っていることは嘘だと───アレは酷い性悪の嘘吐きだと教えなきゃ。ジェスレム様はきっと解ってくださるはずよ…!)

 そう決意した途端、焦燥が消え────ファミラの胸は軽くなる。

 ファミラが性悪な妹の嘘を暴いてみせれば───真実を知ったジェスレムは、きっとファミラへの態度を悔い改めるに違いない。

 そのときは、寛大な心で以て許してやってもいい。

 そうしたら、ファミラの尊さを思い知って────ジェスレムもファミラを蔑ろにすることなく対等に扱い、あの生意気な侍従や侍女たちもファミラに従順になるだろう。

 ファミラは、そんな都合のいい妄想に酔いしれながら、馬車が教会へと到着する瞬間を待ち望んだ。

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