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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#7
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いただきます。まずは───朝食をお持ちいたしましたので、速やかにお食事を済ませてくださるようお願いします。その後、着替えていただきます」
「朝食はいらないわ。それよりも、浴室の準備をしなさい。ジェスレム様にお会いするからには、ちゃんと手入れしないと────」
「いいえ、その必要はございません。無駄なことはさせないようにと、ジェスレム殿下より言いつかっております」
「む、無駄なことですって…っ!?」
怒りのあまり顔を赤くしたファミラのことを無視して、侍従は淡々とした口調で侍女たちに命じる。
「朝食の準備を」
部屋の片隅に設えられた小さなテーブルに、クロスやカトラリーなど、侍女たちは手際よくセッティングしていく。
そして、侍女の一人が押してきたワゴンに載せられた朝食をテーブルへと移し始めたとき────ファミラは淑女らしからぬ大股でテーブルへと近寄り、スープの入ったボウルを乱暴に払いのけた。
床へと落ちたボウルは耳障りな音を立てて割れ、入っていたスープと破片を撒き散らす。
「朝食はいらないと言ったでしょう!さっさと浴室の準備をしなさいよ!」
そう声を張り上げると、ファミラは満足感を覚えた。言ってやった───思い知らせてやった、と。
ファミラが朝食を摂らなければ、この生意気な侍従はきっと困るはずだ。だけど、ファミラは朝食を食べてやるつもりはない。存分に困ればいい。この自分をぞんざいに扱った報いだ────と。
しかし、侍従から、ファミラが期待していたような反応は得られなかった。侍従は顔色一つ変えることなく、ファミラに告げる。
「そうですか、朝食はご不要───と。それでは、着替えをしていただきます」
侍従の目配せを受けて、侍女の一人がスープと割れたボウルの片づけをし始め───残りの侍女がクローゼットへと向かった。
「……礼服以外は、すべてドレスですか」
侍女たちが開け放ったクローゼットの中を見て────侍従が、思わずといった風に、呆れたような声音で言葉を零した。
ファミラは、ジェスレム皇子の“親衛騎士”として、この皇宮へと上がったはずだった。それなのに────戦闘に適した服が一着もない。
そういえば、ファミラがこの邸に来てから、彼女が剣術の鍛練をしているところは一度も見たことがないと、侍従は思い当たった。
「…仕方がない。その礼服を」
侍従は溜息を
吐
(
つ
)
いて────リゼラが“金ピカ”と称した目に痛い派手な礼服を着せるよう、侍女たちに指示する。
「何、勝手に決めてるのよっ!そんな格好でジェスレム様に会えるわけがないでしょ!」
湯あみの件が自分の思い通りにならない苛立ちを忘れ────新たな苛立ちで、かっとなったファミラ
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