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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#6
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の題名を教えるよりも、シャゼムさんを紹介した方がいいかもしれない────ふと、そう思いつく。
シャゼムさんは気難しそうな険しい表情をしていたが、心根は澄んでいた。事情を話せば、協力してくれそうな気がする。
私はおじ様に、シャゼムさんのことを───彼がすべての文献を所有していることを告げた。
おじ様は一瞬眼を見開いてから、興奮したように呟く。
「シャゼム…?もしかして────シャゼム老か?」
「おじ様、お知り合いなのですか?」
「リゼのいうシャゼムが、私の知るシャゼムと同じ人物ならね。だけど、リゼの話を聴くに───多分、同じ人物で間違いない。シャゼム老は、かつて皇立図書館で館長を務めていた大陸史研究の第一人者だった人物だ」
「そんな人物が────何故?」
レド様が当然の疑問を呈する。
「決まっているでしょう、殿下。先代ベイラリオ侯爵に追い出されたんです。追い出された理由ははっきりしていなかったんだけど────リゼの話を聴いて判ったよ」
先代ベイラリオ侯爵にとって、シャゼムさんは自分の妄想を否定する都合の悪い人物だったに違いない。
「しかし…、あの人らしい。先代ベイラリオ侯爵に睨まれていたにも関わらず、図太く皇都に残っていたとはね。灯台下暗しとは、まさにこのことだよ」
シャゼムさんの場合、図太くというより───本をすべて持って行けないからとか、そういう理由で居座っていそうだ…。
「ところで────リゼ。お願いがあるんだ」
「何ですか?私にできることなら、何でも言ってください」
「ありがとう。それなら─────」
おじ様には、幼い頃から本当にお世話になっている。
特に最近は───ロルスとロイドのこと、ラナ姉さんのこと、アーシャとセレナさんのことなど、お世話になりっぱなしだ。
これらの報酬として、私が作製した地図の複製でいいと言われて渡したけれど───正直、それでは全然足りない。
恩返しをするチャンスだ────と、私は少し意気込む。
そんな私の気持ちを察したのか、おじ様はいつものように目元を緩めて、柔らかく微笑んだ。
「シェリアやカエラのように────私にも…、リゼの“祝福”を授けてくれないか」
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