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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#5
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ブラが、密会していた?
 でも───何のために…?

「ただ───その後のジェスレムたちの動向を見張っていたら、侍従が教会に使いを遣ったそうだ。どうやら、教会に参拝に伺う旨を知らせる内容だったらしい」
「参拝───ですか?」

 おじ様は訝しげに眉を(ひそ)める。

 あのジェスレム皇子が参拝───?
 まさか───教会におびき寄せて、魔獣に襲わせるつもりだろうか。だけど、教会付近には【転移門(ゲート)】の類は設置されていないはずだ。

「…解りました。教会については、こちらで探ってみましょう」
「頼む」

 レド様の言葉に、おじ様は頷く。
 レド様は小さく溜息を吐いてから───話を続ける。

「明日───俺たちは地下遺跡を修復して、【転移門(ゲート)】をすべて封鎖する予定だ。ディルカリド伯爵たちも捕縛するつもりではいるのだが───問題はその後だ。おそらく、ガラマゼラ伯爵たちもディルカリド伯爵たちも────罪には問えないだろう」

「…そうでしょうね。ガラマゼラ伯爵もそのゾアブラという男も、ただジェスレム皇子と接触していただけですし───ディルカリド伯爵たちと魔獣の件も、殿下とリゼの事情をすべて話さない限り、罪を立証するのは無理でしょう」

「下手をしたら────皇妃一派に俺が主犯にされかねない」
「ええ、その可能性が一番高いですね」

 だからといって────罪を犯すまで待ってはいられない。被害を考えると、なおさらだ。

「…殿下は、彼らが表立って断罪されなければならないとお考えですか?」

「いや───俺は、魔獣の件さえ止められればいいと思っている。
正直───ガラマゼラ伯爵やゾアブラ、ディルカリド伯爵の───大事な者を奪われた悔しさや悲しみは…、本当に────痛いほど解る。しかも、相手はあのジェミナとジェスレムだ。あいつらの軽い気持ちで───身勝手な理由で…、大事な者を奪われた彼らの心情を考えると、本当にやりきれない…。
だが───無関係な者が被害を被るのは間違っていると思うから、止めたいだけだ」

「レド様…」

 レド様も、ジェミナ皇妃によって、母であるセアラ様と祖父であるファルリエム辺境伯を奪われている。

 小さく震える膝の上で握り締められたレド様の拳を、私はそっと自分の掌で包んだ。レド様は、拳を解いて私の手を握る。

「リゼはどうだい?彼らが罪に問われないのは許せない?」

「いいえ。私も、魔獣の件を止められれば────それでいいと思っています。罪に問おうとしたところで、今の状況では、正しく裁かれないでしょうし───私は、とにかく、ディルカリド伯爵が魔獣を生み出すのを止めたい。それだけです」

 私の言葉を聴くと────おじ様は、レド様と私に改めて視線
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