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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#5
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側妃がディルカリダ=バイレウムであるなら───やはり、その正体がディルカリダ側妃である可能性は限りなく低い。

 ただ───気になるのは、ディルカリダ=バイレウムがディルカリダ側妃だったとして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()どうかだ。

 【記録庫(データベース)】に遺された記録によれば───制御システムが手動に切り替えられる以前に、“下級(ローグレード)魔導師(ウィザード)ディルカリダ=バイレウム”がアクセスしたのは658年前。

 要するに────658年の開きがある。

 白炎様に問い合わせたら、魂魄の位階が上がって延びる寿命は、数十年から二百年ほど人によって差があると仰っていたので───ディルカリダ=バイレウムが生き延びていた可能性はある。

 ディルカリダ側妃は56歳で亡くなり、大々的に葬儀が行われたと記録には残されているけれど───不老長寿になっていたとしても、すでに側妃になった時点で晩年の域に入っていただろうし、矛盾はしない。

 だけど、それなら───何故、地下遺跡の制御システムを手動に切り替えたのかが解らない。

 ノルンが言うには、制御システムは壊れたわけでなく───切り替えられていた。ディルカリダ=バイレウムにはアクセス権限があった。手動に切り替える必要はなかったはずだ。

 制御システムの動力の問題かとも思ったが、地下遺跡は、地中の魔素を取り込み、【魔素炉(マナ・リアクター)】で濾過された魔素を動力としている。ノルンに調べてもらったところ、そのシステムはちゃんと活きていた。

 それならば、何故か────

 考えられるとしたら…、ディルカリダ=バイレウムは生き延びていたのではなく、転生していた────ということだ。

 魔力の質は、肉親と似ることを鑑みると、おそらく肉体の影響を受ける。

 今は冒険者ライセンスとして利用されるあのコインは、古代魔術帝国では身分証明として使われていた。つまりは魔力が識別に使われていた。

 そして───あの地下遺跡でも、魔力は制御システムへのアクセス・キーの一つとなっている。

 転生していたのなら、魔力の質が変わっていたはずだ。おそらく制御システムにアクセスすることはできなかっただろう。

 だから────魔力以外のアクセス・キーを用いて手動に切り替える必要があった────

「ディルカリダ側妃は────“記憶持ち”だった…?」
 
「ディルカリダ側妃というのは、確か───この皇都の建造を推進した人物だったな。その側妃は────古代魔術帝国に関する
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