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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#4
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動に切り替えた人物は解る?≫
≪はい。このシステムの“暫定管理者”です≫
≪“暫定管理者”?────それは?≫

≪【下級(ローグレード)魔導師(・ウィザード)】ディルカリダ=バイレウム────という人物です≫


◇◇◇


「ディルカリダ=バイレウム…」

 この地に遷都を促したディルカリダ側妃と同じ名前────これが、偶然なはずがない。称号からして、古代魔術帝国の人間だろう。

 だけど、一体どういうこと…?

 ディルカリダ側妃が存在したのは、約900年前────古代魔術帝国が滅亡して600年近く経ってからだ。滅亡寸前に不老長寿となり、秘かに生存していたということ…?

 それとも────

「リゼ?どうした、何かあったのか?」

 レド様に声をかけられて、私は我に返る。

 無意識にネロとの視覚の共有を解いて、瞼も開けていたらしく、レド様の心配そうな表情が視界に入った。

「いえ…、ちょっと気になることがありまして────後で、調べてからお話しします」

 【青髪の魔女】の件と併せて、文献を当たってみよう。

「…それなら、俺も一緒に調べる」
「あの、無理はしませんよ?ちょっと検索したり、文献を読むだけですから」

 レド様の頭には、魔石を分析したときのことが残っているようだけれど───おそらく、あれは“祝福”の影響だ。

 あのときは、どうしてもやらなければいけない気がしたからで、今回は無理するつもりは、本当にない。

「………絶対だな?」

 低い声音でそう訊ねるレド様に、私は、いつかのアーシャのようにカクカクと頷く。


 とにかく今は、地下遺跡のことが優先だ。私は、再び、ネロと視覚を共有すると、ノルンに【念話(テレパス)】で語りかける。

≪ノルン───制御システムを掌握することはできる?≫

≪はい、できると思います。手動に切り替えた際に防御システムがすべて解除されていますので───権限を保有していなくても、管理者の書き換えは容易です≫
≪では、制御システムの掌握をお願い≫
≪解りました、(マスター)リゼラ≫

 ノルンが発する光が強くなる。私はその様子を、ノルンの肩に乗るネロの眼を通して、じっと見ていた。

≪完了しました、(マスター)リゼラ≫

 “原初エルフの結界”のときのことが頭を過り、また何か起こるのではないかと心配していたが───今回は何事もなく終えたようだ。

≪ご苦労様、ノルン。それじゃ───今度は後ろにある【転移門(ゲート)】を、私たちにも使用できるようにしてくれる?≫
≪解りました、(マスター)リゼラ≫

 しばらく待っていると、ノルンから完了した旨の【念話(テレパス)】が入る。

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