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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#2
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うすればよろしいので?」
「教会に“参拝”に行くよう、仕向けろ。できれば、明日。駄目なら、明後日だ」

「“参拝”───ですか?」
「ああ。新成人が、無事成人できたことへの感謝と将来の祈願のため、教会へ参拝に赴くことは何らおかしなことではないからな」

 それは、通常の新成人ならば───だろう。

 あのジェスレム皇子がそんなことをするのは、些か不自然ではあるが、まあ、ゾブルには正直どうでもいいことだ。

「それに───()()()()()()()()()()()()

「ですが、当初の予定では───不慮の事故に見せかけるために、皇都の郊外まで行かせるつもりだったはずでは?」

「もう、その必要はない。今回の件は、ルガレド皇子に罪を被ってもらうつもりだ。不自然に見える方が都合がいい。ルガレド皇子諸共────親衛騎士の女を消す」

「なるほど、解りました。それで、明日か明後日に決行ということでしたが────魔獣の方は仕上がっているのですか?」

 ゾブルは、あの薄気味悪い元伯爵を思い浮かべた。

 死んだ息子が忘れられず、未だ嘆き悲しんでいることに同情はしているものの─────あの男の言動や行為は、感情が鈍ってしまったゾブルですら嫌悪を覚える。

「先程、確認してきた。辞令式を襲わせるなら不十分だが、ジェスレムとファミラを襲わせるだけなら、今仕上がっている魔獣で十分だ」

 伯爵がそう言うからには、それで事足りるに違いない。


(これで────これで、ようやくジェスレムを始末できる……)

 ジェスレム────愛する息子の姿を模しただけの醜悪な存在。

 あれを一目見た瞬間に、ゾブルはその存在の意味を悟った。自分の息子が何故、皇妃に連れて行かれ────無情にも殺されたのかを。

 こんな醜悪な存在を生むためだけに、自分の愛する息子は奪われたのだと知り、ジェミナへの憎しみがただ増しただけでなく────その憎悪は、ジェスレムにも向かった。

 ジェスレムが、愛する息子の子供───すなわち自分の孫であることは頭では解っていたが、愛情など欠片も湧いてこなかった。

 ただ一刻も早く、愛する息子を汚すその存在を目の前から消し去りたいとしか思わない。


 ゾブルは、その昏く澱んだ眼を────改めて、伯爵に向ける。

「それでは…、ジェスレムに仕込むべき内容を教えてください───伯爵」

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