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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#2
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直そうということになって、今日は休息日にしたのよ。昨日の狩りの報酬を受け取ったら、解散してそれぞれ研ぎ師やら防具屋に行くつもりなの」
「ああ、そうなんですね」

 私が頷くと────そこで、レナさんが表情を引き締めた。

「だけど、ちょうど良かった。リゼさんに伝えておきたいことがあるの」
「…私に?」
「ええ。昨日、変な男がギルドに来てね────リゼさんのことを聞き回っていたのよ」

「「!」」

 私はレド様と顔を見合わせた。

 レド様が険しい顔つきになって────レナさんに訊ねる。

「どんな男だった?」
「金髪の───割と顔のいい男だったわ。あれは、同業者ではないわね。でも剣は多少、使えそうな感じ。何か偉そうな態度で、いかにも貴族のお坊ちゃんって印象を受けたわ」

 風体を聞くに、おそらく───劇場にも現れたというゾアブラを護衛していた男だろう。

「その男、『このギルドの冒険者に“黒髪で蒼い眼の女”はいるか』って聞き回っていて────すぐにリゼさんのことだと判ったから、その場にいた冒険者は、誰も相手にしないようにしていたんだけど、新人の一人がリゼさんの名前を出しちゃったのよ」
「そうですか…」

 どうやら────私の素性が相手に知られたようだ。

「あ───でも、安心して。そいつ、その新人にリゼさんのことを聞き出そうとしていたけど、フェドが邪魔して、それ以上は話させなかったし───あたしたちの誰も、何にも話していないから」

 レナさんの言葉に、私は嬉しくなった。

 正直、皆には苦手意識を持たれているように思ってたから、皆が私のことを護ろうとしてくれたのは────本当に嬉しい。

 自然と、笑みが零れたのが自分でも判る。

「ありがとうございます、レナさん」

 まずレナさんにお礼を言うと────その後ろにいる『黄金の鳥』の面々に視線を移す。

「止めてくれて、ありがとうございます───フェドさん」
「ぁ、え、いや…」
「皆さんも、ありがとうございます」
「「「…っ」」」

 他の人たちは何も言わなかったけれど、顔を横に振ってくれた。


「俺からも礼を言う。実を言うと────俺たちは今、厄介ごとに巻き込まれている。リゼには護るべき子供たちもいるし────またそのような輩が現れても、どうか…、できるだけリゼの情報を漏らさないで欲しい」

 レド様が、そう言って頭を下げたので────私だけでなく、レナさんたちも眼を見開いて驚く。

「…そっか、リゼさんには孤児院のこともあるものね」

「ええっと、アレド…、でいいんだよな?」

 ドギさんが、ちょっと躊躇いがちにレド様の通り名を呼ぶ。

 そうか───以前、助っ人に来てくれたとき、一応、私
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