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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十四章―妄執の崩壊―#2
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 ベルネオさんの商館を出て、念のため【認識妨害(ジャミング)】をかけてから、徒歩で冒険者ギルドへと向かう。ここからなら、冒険者ギルドは遠くない。

 途中、懇意にしている情報屋であるノヴァの古書店が目に入り────ディルカリド伯爵家についての調査を依頼しているので、ちょっと気にはなったが、ノヴァとの遣り取りはラムルに一任しているし────レド様が傍にいることもあり、素通りする。


 先程のエルの話が尾を引いて────何となく、レド様も私も言葉少なだ。

 けれど、訊いておきたいことがあったので────私は口を開いた。

「レド様は────エデルの生い立ちを聴いていたのですね」

「…ああ。エデルの行動がちょっと不可解に思えたからな────昨日、呼び出して話をした。そのときに────聴いた」

 知らなかった。いつの間に、エデルと話をしたんだろう。

 ああ、だけど────今朝、エデルの件でレド様がすんなり許可してくださったことも腑に落ちた。

 エデルの生い立ちを知って、レド様は身につまされるところがあったのだろう────私と同じように。


「エデルは…、自分の血を残す気はないと言っていたが────アルドネの旧王朝の生き残りだからだったんだな」

 イーデルは、忌み子として虐げていた家族のために新王朝に楯突く可能性は低いと見られたから、見逃されたのだ。

 だけど、その血は争いの火種になりかねない。だからこそ────エデルは自分の代で、その血筋を途切れさせるつもりなのだろう。

 恋愛して結婚することだけが、人生のすべてではないとは思っているけれど────もし…、エデルがそのために、寄り添う人すら持たないと決めているのだとしたら、何だか寂しい気がした。

 それなら、せめて…、気の許せる────いざというとき助けてくれる仲間が、エデルの傍にいてくれたら────と思う。


◇◇◇


 冒険者ギルドに顔を出すと、まだ朝の時分ではあるものの冒険者には遅いと言える時間帯だったが────珍しいことに、Bランクパーティー『黄金の鳥』がいた。

「あ───リゼさん。おはよう!」
「おはようございます、レナさん」

 私に気づいたレナさんが、手を振ってくれる。

「あ、アレドさんも一緒だったのね。おはようございます」
「おはよう」

 レナさんが、私の後ろから入って来たレド様にも気づき、挨拶をする。

「おはようございます、皆さん」

 私がレナさんと共にいる他のメンバーに挨拶すると、皆、ぼそぼそといった感じだったが挨拶を返してくれた。

「今日は珍しいですね。こんな時間にギルドにいるなんて」

「最近、立て続けに狩りをしていたから、そろそろ武具や装備を整え
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