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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#9
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続けることができただけの貴族家の一つで────ベイラリオ侯爵家やディルカリド伯爵家とは違い、権勢など持つべくもない。
何の才覚も持たない両親は、エルダニア王国時代から続くというこの家柄しか誇るものがない────典型的な“老害貴族”だった。
現在、ベイラリオ侯爵家の権力の下、このレーウェンエルダ皇国を巣食うクズどものほとんどは────この“老害貴族”だ。
レーウェンエルダ皇国の実力主義の下では芽が出ず、エルダニア王国が続いていればもっと権力を持てたはずだと妄想を抱き、本気で自分たちは選ばれた者だと信じる────あのバカども。
両親とは違い、剣術に才覚があったウォレムは───幼い頃から、そんな自分の両親を恥じていた。
対する両親の方も、才覚を持つウォレムを疎ましく思っていたようだ。ウォレムには、両親に可愛がられた記憶がない。
ウォレムにとって、“家族”は弟のウォルスだけだった。
ウォレムとは違い、美貌を誇っていたという祖母の血を色濃く受け継ぎ、線の細い美男子だったウォルスは───剣術に関して才覚はなかったが、朗らかな人好きのする人柄で───あの鬱屈していた両親ですら可愛がらずにいられなかった。
ウォレムが騎士となったことを自分のことのように喜び────『自分もウォレム兄さんのような騎士を目指すんだ』と語っていた弟。
念願叶って────ようやく騎士となった矢先、その夢はあの低能な小娘によって踏み躙られた。
あの当時のことを思い出すだけで、今もなお薄まることのない────どろりとした憎しみがウォレムを満たす。
自分がその美貌を気に入って強引に親衛騎士にしたにも関わらず、ジェミナは、先代ベイラリオ侯爵によってウォルスが殺されても、悲しむ表情すら見せなかったと聞いている。
それどころか────あの低能な小娘は…、『初夜で自分に痛みをもたらしたのだから、殺されるのは当然だ』と────そう宣ったそうだ。
あの────青系統の髪色を持って生まれたために、先代ベイラリオ侯爵にただ担ぎ上げられただけの存在のくせして────自分のことをまるで神のごとく錯覚している、低能で本当にどうしようもない小娘────ジェミナ。
そして────ジェミナをのさばらせる要因となっている、エルダニア王国に端を発する老害貴族たちの間でのみ流布している────“青髪信仰”。
先代ベイラリオ侯爵は───ジェミナの髪色が青系統であることを根拠に、ジェミナが、かつてエルダニア王国を繁栄させたというバナドル王の側妃の再来だと謳った。
ジェミナが皇妃となって次代の皇王を生めば、自分たちがガルド=レーウェンによって奪われてしまったものを取り戻せるだろう────と。
エルダニアを偲
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