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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#9
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たのか?」
「いえ、それが────男が所属していた劇団で聞き込みをしたところ、一度劇場に戻って来たものの、荷物を持ってすぐに飛び出して、それきりだとかで────劇団の方でも探しているそうです」

「それで“双剣のリゼラ”の方は?そっちで匿っている可能性は?」
「情報が少な過ぎて────何とも。冒険者同士の仲間意識でもあるのか、どいつも口が重くて、あまり情報が集まらないのです」
「そうか」

 やはり、この皇都の冒険者ギルドは“双剣のリゼラ”の手に落ちているようだ────ウォレムは、そう確信する。

 悪用するために男を助けたのなら、その男は“双剣のリゼラ”に匿われている可能性が高い。だが、そちらから辿るのは無理そうだ。


(向こうは、まず、邸を所有する者────すなわちゾブルと繋がっている人物を探ろうとするはずだ)

 邸の者には、邸の側をうろつく者や邸のことを聴き出そうとする者が現れたら、こちらの情報は与えずに、ウォレムへと報告するよう厳しく命じてある。

 今のところ、そういった報告はない。こちらのことは、まだ知られていないと考えてもいいだろう。

 この状況下では、ゾブルにしばらく皇城へ入り込むことを控えさせるべきかもしれないが、ゾブルにはジェスレムをおびき出す役割があるため、危険は承知で行かせるしかない。


 計画当初は───事を起こすのは辞令式で、と考えていた。それが狂ったのは、あの口先だけで役立たずの元伯爵────ディルカリドのせいだ。

(ちっ、何が───“理性を失わない最強の魔獣”だ)

 確かに、従来の魔獣とは違い、理性を失わず知能も少しは高くなっているようだ。だけど────それだけだ。

 冒険者に簡単に討伐されてしまうようでは意味がない。

 連携を見せた魔獣には、ウォレムも期待を寄せていたが────後で聞いたところによると、大して手こずる様子もなく、そう時間がかかることもなく、駆け付けた冒険者に討伐されたのだという。

 これでは────騎士たちが動員されれば、もっと簡単に倒されてしまうに違いない。

 今回の辞令式は────虧月(きげつ)騎士団と偃月(えんげつ)騎士団のほとんどはエリアエイナ地帯に留め置かれている状態のため、警備を担当するのは彎月(わんげつ)騎士団のみという、事を起こすには絶好の機会だった。

 辞令式で何かが起これば、警備を担当する騎士団の責任になる。
 だが、今回は────ウォレムもダズロも責任を負う必要がない。

 だからこそ────ゾブルとディルカリドの話に乗ったのだ。

 “地下”で魔獣を見せられたときは旨くいくと思ったが────辞令式を襲わせても、これでは標的を殺す前に討伐されてしまうだろう。


(今回は、皇
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