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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#8
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の命の方が大事だ』────と」

 話し続けるエデルの声音に、微かに感情が入り混じる。

「この人は心配すべき人を───大事な人を、きちんと選別しているのだと悟りました。その心配すべき人の中に、自分も入っていることに気づいた瞬間────私は…、胸が震えた気がしました」

「…だが、それは────エルだって同じではないのか?」
「エルも確かに選別はしていますが、あの子の場合はその線引きが自分の劇団員かどうかなんです。劇団員なら────私ではなくてもいい。ですが、リゼさんは違う」
「………」

「私は、リゼさんについて行きたかったけれど────興味本位と受け取られたみたいで、断られました。仕方なく俳優業を続けていたところに、今回の件に遭遇したんです。私は────この機を逃したくない」

 エデルの双眸に、強い意志が灯る。


 ルガレドは、そこで────エデルに乗せられたのだと気づいた。

 リゼラに仕えるには、ルガレドを落とさなければならない。

 危険を冒してまで情報を持ち帰ったのは、リゼラが自分の心配をしてくれることを再確認したかったからだけでなく────自分の有用性を示しつつ、こうしてルガレドと話をする機会を得るためだ。

「…最初の驚愕も焦りも、全部演技か?」
「はい。“レムト”なら、ああいう反応をしないと不自然ですから。それに、少しでも貴方の同情を買えればと思ったのですが────それは無駄でしたね」


「リゼは…、俺の妻となる身だ。それでも────お前は、リゼの傍にいられるのか?」

 エデルは、薄い笑みを浮かべた。まるで────同じことを問いかけたときのジグとレナスのように。

「俺は…、自分の血を────あの家の血を残す気は毛頭ない。妻子を持つつもりなどないから────リゼさんにそれを求めるつもりもない。
ただ────リゼさんに気にかけてもらえるだけでいい。
それに…、リゼさんといると、とても気が楽なんだ。あの人は───突然、俺が演じる人格を替えても、感心こそすれ、気味悪がったり対応を変えたりしないから」

 ずっと神眼でエデルを視ていたルガレドは、疲れたように嘆息した。

 エデルの言葉に嘘はなかった。
 嘘であってくれた方が良かったのに────そんな思いが過る。

 エデルの心情がある程度理解できてしまったルガレドは、エデルの希望を、自分がもう無下に突っぱねることはできないだろうと解っていた。

 それに────エデルの演技力が有用なのは確かだ。

 リゼラに仕える精霊獣は、気づかれることなく監視することはできるが、相手に接触して情報を引き出したり、探りを入れることはできない。


「…いいだろう。リゼに仕えることを許してやる。だが────何かしら護身
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