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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#8
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やりかねない」
レド様が唸るような声音でエデルの言葉を肯定すると、さらにラムルが頷いた。
「そうして、生まれたのが────ジェスレムというわけか…」
ジェスレム皇子は、このレーウェンエルダ皇国の皇族は必ず持って生まれるはずの───紫色の瞳をしていない。
ジェスレム皇子が皇王陛下の子供ではないことは、誰も言及することはないが周知のことだ。
皇妃は────浅はかにもその馬鹿げた計画を実行し、妊娠が確実になってから、用済みとなったゾアブラの息子を────口封じもかねて殺させたのだろう。
「だが────そうすると、そのゾアブラという男にとって、ジェスレム皇子は“自分の孫”ということになるのではないか?逆に害するのを躊躇うと思うが…」
ディンド卿が困惑気味に、エデルに疑問をぶつける。
「ジェスレム皇子は、瞳の色以外は───ゾアブラの息子に顔の造作や立ち姿が酷似しています。それだけなら…、ディンド様の言う通り、ゾアブラも躊躇ったことでしょう。
ですが────ジェスレム皇子の表情や言動は、ゾアブラの息子とは似ても似つかない。ゾアブラの息子は、以前のゾアブラに似て───いつでも柔和な笑みを浮かべ、お人好しと言っていいくらいの善良な青年でした。
それほど上手くはなかったものの───その人柄が滲み出た演技は、演じる役柄を選びはしましたが、人気を博す一因となっていました。
ジェスレム皇子の…、あの───醜悪としか言いようのない表情や、人に対する思いやりが微塵も感じられない言動とは────まったくもって違う」
エデルの────まるでジェスレム皇子を見知っているかのような言葉に、私は眼を見開く。
「私は、ゾアブラの息子とは同じ劇団員としてしか交流はありませんでしたが────その私でも、こんな男のために、ゾアブラの息子が───ザグレブが…、何故死ななければならなかったのかと考えてしまったくらいです。
ザグレブを知っているからこそ────ザグレブに容姿が酷似している分だけ、ジェスレム皇子のその醜悪さが、私には際立って見えました。おそらく、息子を愛していたゾアブラなら、余計にそう感じることでしょう。
私は────ゾアブラがジェスレム皇子に憎悪を催しても、何らおかしくはないと考えております」
「それは…、確かにそうかもしれんな」
ディンド卿は、同じ子を持つ身として思うところがあるのか沈痛な面持ちだったが、それでも納得したように、相槌を打つ。
私は、そんなことよりも────気になることがあった。
「エデル────貴方…、ジェスレム皇子に会ったのですか?」
「ええ。ジェスレム皇子を間近で見てみたかったので、皇宮の侍従に身をやつして、ジェスレム皇子に近づき────言葉を交わし
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