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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#7
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「では、誰が?」

 ラムルは、複雑な表情を浮かべ────エデルを見遣った。

 今日のエデルは───何処か、ラムルと似通っていた。

 私が創った腕時計に落とし込んだ【偽装(フェイント)】で髪と双眸の色を変えているのだけど、ラムルと似たような系統の色を纏っている。まるで───親子みたいに。

 私はなるほど───と思う。

 レド様の執事であるラムルの子供を私が執事として雇う───どう見ても自然な流れだし、出自も確かなように周囲は錯覚するはずだ。

「エデルです。邸から出てきたメイドが商店街に入ったところで、エデルが声をかけたのですが───あれは…、もはや古代魔術帝国の魔術に匹敵する代物です。ウォイドから聴いてはいましたが───役者の神髄とはこういうことかと悟ったくらいです」

 ラムルが遠い眼をして言う。エデルは微笑みを湛えたままだ。

 まあ───何があったのか想像に難くない。

 エデルはどんな役にでも成りきる。相手に合わせて、警戒心を持たせず情報を引き出すくらいお手の物だろう。

「エデル、ご苦労様でした」
「勿体ないお言葉です、ご主人様」

 労わるのは雇い主の私の役目だろうと考え、エデルに声をかける。エデルは微笑みを深くして、優雅に一礼した。

「「「「…………」」」」

 あれ?何この奇妙な沈黙…。



「もう一つ、報告がございます」

 変な沈黙を破るように、ラムルが申し出る。

「何だ?」

「エデル、掴んできたのはお前だ。自分の口で報告しなさい」

 ラムルがエデルに促す。

 エデルはラムルの言を受け、一歩踏み出すと────口を開いた。

「ゾアブラの息子が殺された理由が判明しました」

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