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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#7
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「いえ…、手掛かりを集めるだけで時間がかかりそうですし────それに【転移門(ゲート)】は使用者に制限がかけられています。セレナさんなら、もしかしたら使用できるかもしれませんが、私たちでは不可能です」
「そうですか…」

 ディンド卿は、ちょっとがっかりしたように応えた。

 まあ、ディンド卿は、古代魔術帝国の魔術や魔導機構を使い始めたばかりだし───仕様など、まだまだ詳しくない。

 私は、ディンド卿を元気づけるべく言葉を繋ぐ。

「でも、発想はとてもいいと思います。実のところ、私もその方法が一番手っ取り早いと思っています。ですが…、辿るのは、【転移門(ゲート)】でなく───【限定転移門(リミテッド・ゲート)】にしようと考えているのです」

「だが、リゼ───あの【限定転移門(リミテッド・ゲート)】は、一方通行だろう?どうやって、辿るつもりだ?」

 レド様が口を挟む。

「ええ。ですから────私のオリジナル魔術【往還】を利用するつもりです」
「そうか、あれは設置済みの【転移門(ゲート)】に跳ぶことができるんだったな。だが、対の【限定転移門(リミテッド・ゲート)】を感知できるのか?」
「それについては、まだ思い付きの段階ですが───考えがあります。後でノルンと実行可能かどうか検証してみて、皆さんに話したいと思っています」

 私が言うと、レド様が眼を(すが)めた。

「………その検証、俺も参加する」
「えっ」
「リゼ?」
「いえ───はい…、解りました…」

 いや、進んで無理をするつもりはないから、レド様に参加していただくのは構わないのだけど────私で事足りることでも、させてもらえない予感がするのは、気のせい?


◇◇◇


 レド様と私の方の報告と検証が一段落し────次の報告に移る。

「エデルを襲ったという三人が逃げ込んだ邸は───想定通り…、ガラマゼラ伯爵邸で間違いありませんでした」

「やはりか……」
「はい。邸の使用人たちは、ゾアブラのことをガラマゼラ伯爵の勘当された叔父だと思っているようです。当主は叔父を気の毒に思い、時折、善意から手を貸していると────そのように認識しているみたいです」

「エデル────念のため訊くが、そのような事実はありえるか?」
「いいえ。ゾアブラは、ドルマ連邦に故郷があります。両親や近しい肉親は亡くなっているようですが、生家がその故郷にあったことは確かです」
「そうか、解った。────しかし…、ラムル。昨日の今日で、そのような情報、よく掴めたな。お前のことだから大丈夫だとは思うが、相手に気取られるような真似はしていないな?」
「それは、大丈夫だと思います。…実は───この情報を得たのは、私ではないのです」

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