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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#7
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よね?あれは、この皇城では利用できません。皇城内で転移することはできますが、外には跳べないんです。古代魔術帝国の魔術を以てしても、皇城に張られた“防壁”を破ることはできません。ですが───その“防壁”が古代魔術帝国の技術だというのなら、納得できます」
原初エルフの固定魔法かとも思ったけど、分析してみたら違った。
あれは────魔術だ。
「分析で視る限り、あの“防壁”は地下から起ち上っているようです。地下に魔術式───あるいは魔導機構があるのではないかと思います」
「何故────そんなものがこのレーウェンエルダ皇国の皇城に…?」
「この皇都は、レーウェンエルダ皇国が造ったものではありません。この城が───街が造られたのは…、エルダニア王国時代バナドル王の治世だそうです。バナドル王の側妃であったディルカリダの推進の下、元々は別の地にあった王都をこの地に遷都したらしいです。ディルカリダ側妃は────エルドア魔石の考案者ではないかと思われる人物でもあります。
私には、この遷都は…、この“防壁”───もしくは、地下にある遺跡を利用するために成されたのではないかという気がしてならないのです」
話が大きくなってしまったせいか、愕然とした空気が漂う。
「ディルカリダ────ディルカリダの遺産…」
そんな中───何処か茫洋とした声音で、セレナさんが言葉を零した。
「セレナさん?何か知っているのですか?」
私が訊くと、セレナさんは我に返って、私に目を向けた。
「以前───父と兄が話しているのを、耳に挟んだんです。“ディルカリダの遺産”と───確かに言っていました。そのとき私は、家名である“ディルカリド”を聞き間違えたのだと思いました。ですが…、あれは聞き間違えではなかったんですね…?」
「おそらく聞き間違いではないと思います。────他には、何か言っていましたか?」
「ええと───門…、“門は───ベイラリオでは潜れない”───そう言っていたと思います」
「“門”…。もしかして────【
転移門
(
ゲート
)
】のこと…?」
【
転移門
(
ゲート
)
】は登録された者しか使用できない。
“ディルカリダの遺産”とやらに繋がる【
転移門
(
ゲート
)
】を使用することを、ディルカリド伯爵家は許可されていた────ということ…?
この“ディルカリダの遺産”というのが、目的である古代魔術帝国の遺跡のことなら───ディルカリド伯爵たちが利用している根拠を強くする情報だ。
「それがリゼラ様の仰っていた遺跡で───その“門”というのが【
転移門
(
ゲート
)
】なら、遺跡そのものより、それを探せば、遺跡に辿り着けるのでは?」
ディンド卿がそう提案するが、私は首を横に振る。
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