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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#6
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 1頭だけならレド様の敵ではないが、攻撃しようとするたび、もう1頭に邪魔をされ、手こずってしまっているみたいで───人目があるから、ジグも援護したくともできないようだ。

 左右から迫る魔獣の角を、レド様は身体の動きだけで躱している。2頭の魔獣との距離が近過ぎて、両手剣が振るえないのだ。

 私はある程度近づいたところで膝と両手を地面に突き、こちらに背を向けているオーガを狙って、魔法を放った。

 この間とやり方は同じだ。地中の魔素を操って、隆起させた土を固定魔法で強固にして、魔獣にぶつける。

 上半身を屈めていた魔獣は、前のめりに飛ばされて、しまいには地面に突っ込んだ。太く鋭い角が地面に食い込んで埋まる。

 私に気づいていたレド様は、私が魔法を放ったのと同時に攻撃に転じて、もう1頭の魔獣の側面に回り込み───魔法によって魔獣が吹き飛んだ瞬間、上半身を屈めた魔獣の低い位置にある首目掛けて、両手剣を振り上げた。

 私はその結果を見届けることなく、地面に角が埋まって身動きのとれない魔獣に向かって奔る。

 レド様と同じように、魔獣の側面へと回り───もう1頭よりもさらに低い位置にある首に、対の小太刀を振るった。



「助かった、リゼ」
「いえ、遅くなってすみません。ケガはありませんか───アレド」
「俺は大丈夫だ」

 どうやら、レド様にケガはないようだ。思わず、安堵の溜息が出る。

 レド様の無事が確かめられたので、冒険者たちに振り向くと───全員、呆然とした表情を浮かべて棒立ちになっていた。

「貴方たちもケガはありませんか?」

 一番先頭にいる私より幾つか年上らしい冒険者が、私の言葉に我に返って、返答してくれた。

「ぁ、い、いえ───その…、オレたちは大丈夫です。魔獣に襲われる直前に、そっちの人が助けてくれたから…」
「そうですか。では、どなたかギルドへ戻って、援助要請をしてきてくれませんか?」
「わ、わかりました」

 その冒険者は頷くと、自分の仲間に顔を向ける。彼の仲間たちは、まだ呆然としていて常態を取り戻していない。

「それじゃ、オレが行ってきます。────すいませんが、オレの仲間を頼んでもいいですか?」
「解りました。それでは、お願いします」
「はい!」

 何故か嬉しそうに頷いて、その青年は背を向けて走り出した。青年の後ろ姿から、彼の仲間へと視線を移す。

 さて───どうしたものかな。魔獣が出現した状況を訊きたいのだけど。

「リゼ、俺が訊く」
「そうですか?では、お願いします」

 レド様が私の肩に手を置いて、言う。

 それなら───と、レド様に任せることにした。レド様は、未だに呆然としている冒険者たちの方へ歩み寄ってい
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