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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#6
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 何だか───“神託”みたいだ。

 もしかしたら…、もうこの時点で魔術式は設置されていて───あの魔術式で、参拝しに来た者を調べていたのかもしれない。

 私はそこまで考えて───思考を切り替えるために、一つ息を()いた。

 さあ、エルドア魔石を分析してしまおう────


◇◇◇


 冒険者ギルドに赴くと、時刻はもう正午近くだった。

 昼の混雑はまだ始まってはいない。ギルド内は閑散としていて────レド様は見当たらない。

「こんにちは、リゼさん」
「こんにちは、セラさん。アレドは、来ましたか?」
「はい。アレドさんに頼まなければならないような依頼はなかったので、狩りに行っています」

「どの辺りへ向かったか、判りますか?」
「いえ、そこまでは」
「そうですか、解りました。自分で探してみます。ありがとうございました、セラさん」

 私がそう締めくくり、カウンターを離れようと振り向くと、セラさんに呼び止められた。

「あ、リゼさん。例の魔獣の出現場所についての情報ですが───アレドさんに渡してあります」
「解りました。ガレスさんにお礼を言っておいてください。それでは、また」

 セラさんにそう応えて、私は今度こそ、カウンターを───冒険者ギルドを後にした。



 ギルドを出て、レナスと共に人通りがない方へ進み、【認識妨害(ジャミング)】で姿をくらます。

 レド様を【把握(グラスプ)】で探すと、私がブラッディベアの魔獣を討伐した辺りにいるようだった。もしかして────レド様も魔獣の出現場所を検証してくれているのかもしれない。

 【転移(テレポーテーション)】を発動させて、一気に近くまで跳ぶ。

「!!」

 映る景色が変わって────目に入ったのは、レド様が魔獣2頭と交戦している姿だった。

 どちらもオーガで、3mほどに巨大化している。変貌はしていなかったが、角が異様に大きい。【心眼(インサイト・アイズ)】を発動しなくても、内包する魔力量の少なさが感じ取れた。

 あれは、おそらく────ディルカリド伯爵に造られた魔獣だ。

 レド様の脅威になるような強さではないが、前回同様、魔獣は理性を失っておらず、動きも連携しているようだ。

 おまけに、レド様の後ろには、低ランカーらしい冒険者が数人いる。幸い、彼らは魔獣に目を向けていた。

 私は、【認識妨害(ジャミング)】を解いて────奔り出す。


 2頭の魔獣はその異様な角を武器としているらしく、上半身を屈めて体勢を低くして、まるで“闘牛”のように勢いをつけてレド様に向かっていく。

 角は太く鋭く───あれに刺されたら一溜まりもないだろう
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