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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#5
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現できない笑い顔…。
私は、両手で顔を覆うしかなかった…。
「あー…、それでは───その男も、皇妃に恨みを持っている可能性が高そうですね」
ディンド卿が、また脱線しそうになった話を戻してくれる。ありがとうございます、ディンド卿…。
「皇妃とジェスレム皇子に恨みを持った者たちが寄り集まって、何か企んでいるということでしょうか?」
さすが、ラムルは切り替えが早い。素早く表情を直して、ディンド卿に続く。
「皇妃に恨みを持つ者…」
私は、ふと違和感を覚えた。
ガラマゼラ伯爵とゾアブラ、そして元専属騎士。経緯から考えると、この三人が恨んでいるのは皇妃────それは、確実だろう。
だけど────ディルカリド伯爵が恨んでいるのは、おそらく皇妃よりもジェスレム皇子のはずだ。息子をジェスレム皇子に殺されたのだから。
「皇妃は────レド様やおじ様から聴いた印象だと、息子を失っても悲しむような性質だとは思えないのですが…」
「そうだな。皇妃は、ジェスレムが死んだとしても悲しみはしないと思う」
「ですが───そうすると、皇妃に思い知らせる目的で、ジェスレム皇子を害するのは意味がないということになります。それならば…、もし彼らが手を組んでいるとすると────ジェスレム皇子だけでなく、皇妃も標的に入っていると考えるべきですよね」
「…そうなるな。個々に狙うつもりか、共にいるところを狙うつもりかは判らないが」
私たちの推論に、ラムルが口を挟む。
「リゼラ様に手勢をお借りしてから、皇妃とジェスレム皇子を探ってはおりますが───あの二人は、共に行動することは、ほとんどありません。一遍に事を済ますならば…、やはり辞令式を狙うつもりでしょうか?」
「辞令式は皇宮内の“謁見の間”にて行われる。その分、警備も厳しいはずだが────相手に、偃月騎士団団長のガラマゼラ伯爵がいるからな。可能性はある」
辞令式には、国中の貴族が集まってくる。その中には、ベイラリオ侯爵やその家門、傘下の貴族も含まれる。いくら無責任な防衛大臣でも、警備には力を入れないわけがない。
でも、その警備を任される騎士団に手引きをされてしまったら────
「これは…、おじ様───宰相であるロウェルダ公爵閣下に注進すべきかもしれません」
「ああ、そうすべきだな」
おじ様には、契約のことや魔術のことは打ち明けてある。ただ───“祝福”については、まだ話していない。
注進したとしても、おじ様もロヴァルさんも、私たちの推論は強引に感じるかもしれない。
ガラマゼラ伯爵が関わっているかどうかは、おそらくゾアブラたちが逃げ込んだ邸を調べることで判明するだろう。
ディルカリド伯爵が関わっているか
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