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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#5
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伐した魔物の鞣革を利用して紙を作って、そこに、即席で編み上げたオリジナル魔術【描写】で写し取ったものだ。

「ここです」
「ほう、確かにこれは貴族街の際ですね。貴族街の邸の立地は、序列を如実に表します。この位置ですと…、あまり権力を有さない伯爵か、子爵辺りですね」
「伯爵…」

 ウォレム=アン・ガラマゼラが浮かぶが────先入観は禁物だ。

「ご主人様────私が助けていただいた位置は、何処になりますか?」

 エデルに訊かれ、私は地図に意識を戻す。

「そうですね…、この辺りだと思います」
「なるほど。では────私は、ゾアブラがその邸に入る直前に声をかけてしまったのですね。それは…、殺されそうになるわけだ」
「エデルは、このお邸の前でゾアブラに声をかけ───お茶を飲みに行こうと誘われて、こちらへ移動したということですか?」
「ええ、その通りです」

 エデルが自分で言った通り────それは、殺されそうになるわけだ。

「エデル…、貴方、やっぱりゾアブラが訳ありだと、ちゃんと判っていたんじゃないですか」

 貴族の邸宅の裏口に向かうところを見て────この人が何も察しないわけがない。エデルは微笑むばかりで、何も言わなかった。

「まったく、もう…」

 私は、深い溜息を吐いた。


「その賊たちは、ルガレド様を見知っている者ということでしたが───」

 ディンド卿が、逸れそうな話を戻しにかかる。

「ルガレド様に見覚えはないのですか?」
「ゾアブラという男にはない。だが、護衛の一人に見覚えがある」

「え、そうなのですか?」

 初耳だったので、私は思わず口を挟んでしまった。あのときは、そんなこと言っていなかったのに。

「あのときは判らなかったが、ラムルから皇妃の話を聴いていて────思い出した。あれは…、皇妃の専属騎士だった男だ」
「皇妃の?」
「ほら────ロウェルダ公爵が、例に出した男だ。皇妃が、見目を気に入って強引に自分の専属騎士にしておいて────くしゃみをした顔が醜かったから懲戒免職にしたという騎士だ」

「ああ、あの…!え、あの二人のうちの一人が、そうだったんですか?ええと…、どちらの方ですか?」

 どちらも顔の造作は整っている方だとは思ったけど、皇妃が気に入るほどだったかな…?

「淡い茶髪の方の男だ。かなりの美男子だったと思うが…」
「ああ…、茶髪の────え、そんなに美男子だったかなぁ…?レド様に比べたら、全然────」

 不意に沈黙が降りたので、顔を上げると────まず、レド様の嬉しそうな表情が目に入った。

 次に、ディンド卿の苦笑い。

 そして───ラムルとカデア、ラナ姉さんとヴァルトさんの───ニマニマとしか表
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