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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#4
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マナ・クォーツ》では駄目なのですか?」

 私がそう訊ねると、ガレスさんは眼を見開いた。

「この魔水晶(マナ・クォーツ)は魔素が均等になるように()()()()いますし───魔術陣を書き込むのに適しているように見えるのですが…、これでは駄目なのですか?」

 私は言葉を重ねる。

 ガレスさんは、苦笑のようなものを浮かべて────溜息を()いた。

「お前さんなら────いつか気づくと思っていたよ」

「どういうことだ、リゼ」

 レド様が口を挟む。

「“魔水晶(マナ・クォーツ)”は───鉱物ではなく…、冒険者ギルドで造られている人工物だ────ということです」

 確証を得たのは、アーシャの武具を創る際に分析したときだけど───以前から、疑問には思っていた。魔水晶(マナ・クォーツ)の採石場というのが、この大陸の何処にも見当たらないし、聞いたことすらなかったからだ。

 おそらく───材料は魔石だろう。

 魔石を買い取ってくれる組織は、3ヵ所ある。まずは、魔術協会。次に、魔道具ギルド。そして────冒険者ギルド。

 魔術協会も魔道具ギルドも、魔石を必要としているから当然だ。

 だけど────冒険者ギルドは魔石を転売している様子もないし、どうして買い取るのか不思議だったのだ。

「この魔水晶(マナ・クォーツ)のコインなら、冒険者ギルドで供給できますし、最適だと思うのですが────それとも、利用できない理由でもあるのですか?」

「いや───単に、考えつかなかっただけだと思う。だが───そうだな…、書き込む内容を魔術陣に変えることができれば────あるいは、書き込む寸前で止めれば────いいかもしれない…、試してみる価値はありそうだ」

 ガレスさんは、可能性が見えて、興奮気味に呟く。

「ええ、()()()()()()()()()()────最適だと思います」

 私が意図的にそう言葉を付け加えると────レド様、ガレスさん、バドさんの表情が、はっとしたものとなった。

「そうだな。そう報告と提案をしよう」
「ええ、そうしてください」

 エルドア魔石を造り出そうなどと…、冒険者ギルドが決して考えることのないように────

「ああ、必ず」

 ガレスさんは、強い意志を(たた)えた眼を私に向け────頷いた。

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