暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#4
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
とめて攫ってきたか───あるいは生ませているということ…?」

 どちらにしろ、ぞっとする行為だ。


「オレも───実は…、一つ気になっていることがある」

 バドさんの話から導かれる想定に寒気を覚えていると────今度はガレスさんが躊躇いがちに口を開いた。

「今期は、どうも───例年に比べ…、魔物の数が少ない気がするんだ。集落潰しの頻度は例年と同じくらいあるんだが…、規模が小さいのばかりな気がしてな」
「いや、ガレス───それは気のせいじゃない。オレもそう思っていた。例年より、確実に少ない」

 バドさんまで確信しているということは────バドさんの言う通り、これはガレスさんの気のせいじゃない。

 だけど────何故、今年は魔物の数が少ないのだろう。ディルカリド伯爵が、魔獣にするため魔物を攫っているから?

 でも…、それだけで────ガレスさんが気になってしまうほど減る…?



「とにかく───今明らかな問題点と疑問点は解った。早急に調べることにしよう」

 ぐるぐると考え込んでいると、レド様の言葉に遮られ、思考が冷静になった。今は────もっと情報を集めるべきだ。


◇◇◇


 いつものように、持ち帰る3頭の魔獣の素材と魔石をアイテムボックスへと送り、レド様としばらく待っていると───まずバドさんが戻って来た。続いて、ガレスさんも戻って来る。

 ガレスさんは、レド様にライセンスを渡して告げる。

「アレドは───今回の件で“星”が10個に届いた。昇進したいと思ったら、いつでも昇進試験を受けてくれ」
「そうか、解った」

 早くSランカーまで昇り詰めたいところだが───Aランカーになると、招集に応える義務が生じる。

 Sランカーになってしまえば、相応の理由があれば断る権利を与えられるのだけれど。

 今、Aランカーに昇進したら───“大掃討”の参加を命じられるはずだ。レド様にそんな時間的余裕はないので、しばらくは見送るべきだろう。

 レド様は、少し嬉しそうに、ライセンスを懐中時計へと仕舞い込んだ。


 次いで───ガレスさんは私に、Sランカーのライセンスである魔水晶(マナ・クォーツ)のコインを差し出す。私はそれを受け取った。

「…………」

 そして、手の中の───古代魔術帝国の粋を凝らした魔導機構であるコインを見つめる。

「ガレスさん────冒険者ギルドは、魔術陣を作製したいと言っていましたよね?」
「ああ」

 私は、顔を上げて────コインからガレスさんへと視線を移す。

「だけど…、魔術陣を書き込む魔石が手に入れられない────そういうことですよね?」
「ああ、そうだが…」

「それは────この|魔水晶《
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ