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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#3
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々から思っていたのです。リゼラ様は我々の主なのに、敬語で話すのはおかしいと思いませんか?」
「オレたちを信頼しているというなら────もっと、砕けた口調で話していただきたいです」

 二人は、交互に言い募る。

「でも────私は二人の主といっても、本当の主はレド様ですし───それに…、ジグもレナスも、レド様の護衛という意味では私の先達ではないですか。敬語でもおかしくはないと思いますが…」

 それに、年上だしな。名前を呼び捨てしているのだって、烏滸(おこ)がましい気がするのに。

「リゼラ様────そんな風に思っていたんですか?」
「つまり…、我々の忠誠を疑っているんですね?」

 ええっ、何でそうなるの?

「そんな────疑ってなどいませんよ。二人が私にも忠誠を捧げてくれているのは、ちゃんと解っています」
「それなら、オレたちには砕けた口調で話してください」
「そうしたら────リゼラ様は、我々を信頼してくださっているのだなと思えますから」

 ええ、何その持論。

 強い意志をその瞳に湛えた二人は、まったく引かない構えだ。
 ああ、これは────絶対に折れそうもない。

 私は、溜息を()く。

「解りました。それでは────これからは…、ジグとレナスには、普通に話すことにする。これで、いいの?」

 本当にいいのかなと内心思いつつも告げると────ジグとレナスは、物凄く嬉しそうに笑みを浮かべた。
 レナスは、結構、頻繁に嬉しそうな表情を見せてくれるけど───ジグは、ノルンの件以来だ。

 こんなことで、二人がこんなに喜んでくれるなら────まあ、いいか。

 何だか私も嬉しくなって、口元を緩める。

「ルガレド様、そんなに睨まないでくださいよ」
「睨んでない」
「いや、何処からどう見ても睨んでます」

 ジグとレナスは、嬉しそうな笑顔のままだ。レド様のこめかみに、血管が浮き上がる。

「くっ。リゼがお前らに丁寧に接するのは勿体ないと思っていたが────これはこれでムカつくな」
「相変わらず酷いですね」
「ルガレド様は、本当に心が狭いですよね」
「……いい加減、その笑顔やめろ」

 この三人は本当に仲がいいなあと思いつつ────ガレスさんたちを待たせるわけにはいかないので、私は苦笑を浮かべて、応酬を続ける三人の軽口に口を挟んだ。

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