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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十三章―逆賊たちの持論―#3
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ーロー役を私が演じることになってしまったときも、レムトさんに演技や殺陣を指導してもらった。

 もしかしたら────あのときはエルよりも接していたかもしれない。


「ですが、真面目な話────レムトさん、ゾアブラがおかしいことに、本当は気づいていたんじゃないですか?」

 レムトさんは、戦えないけど、人の感情の機微や気配には敏感だ。

 ゾアブラの様子やあの護衛に気づいていなかったとは思えない。特に、あの護衛たちは気配を隠しきれていなかったし。

「まあ…、ゾアブラのことは、眼は笑っていなかったので妙だなとは思いました。それに隠れている二人組にも、すぐに気づきました」
「それなのに、何故ついて行ったんです?」
「いや、だって、気になるじゃないですか。まさか、私を殺す気だとまでは思わなかったもので────どういった事情があるのか、つい知りたくなってしまったんですよね」
「つい、じゃないですよ…」

 相変わらずだな、この人は。

「いつかその好奇心が身を滅ぼしますよって、忠告したでしょう。まったく、もう…」

 私が呆れて溜息を()くと、レムトさんは苦笑いを浮かべた。

「このお邸で匿うからには、レド様の役に立ってもらいますからね。レムトさんの食事は私が負担しますけど、ただ飯を食らうのは許しませんよ。レムトさんなら、執事も侍従もできますよね?」
「それは、勿論」

 レムトさんは、ウォイド劇団に入る前に、役作りのため色々な仕事を経験したらしい。その中には、商家ではあるけれど、執事や侍従も入っていたはずだ。


◇◇◇


───白炎様───

 食後のお茶を終えて、後片付けを口実に厨房へと行くと───白炎様との繋がりを辿って、【念話(テレパス)】の要領で、私は白炎様に呼びかけた。

 初めての試みだけれど、私は白炎様の神子で───魂魄が繋がった状態なので、こういったこともできると伺っている。

 いい機会だし、試しておこうと思ったのだ。まあ、できなかったときは、私が先行すればいいだけの話だ。

───何かあったのか、我が神子よ───

 駄目だったかなと思ったとき───不意に白炎様の声が頭の中に響いた。
 良かった、成功したみたいだ。やり方も、これで大丈夫だったらしい。

───突然、申し訳ありません、白炎様。これから、そちらに向かうつもりなのですが、今日は事情を知らない者が一人いるので、姿を現さないでいただきたいのです───

───そうなのか…。では、今日は我が神子の許へは行かないことにする。非常に残念だが…───

───申し訳ありません。近いうちに、また必ず参りますから───

───絶対だぞ?待っておるからな───

───はい。お約束い
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